ワープポータル(7)
毎週、3週連続テレビ撮影あるみたいです。や、休みが……
「ねぇ、お兄さん、なんか良い方法ないでしょうか?」
あ、チェルシーの僕の呼び方がオッサンからお兄さんに変わった。現金なものだが、悪くは無い。なんかオッサンって言われたら40代くらいをイメージ僕はするからな。もう少しこの二人とここに居るのもわるく無いが、結構な時間が経った。もしかしたらそろそろマイ達が来るかもしれない。その時に若い娘と3人で密室に居たら怒られる可能性だ大だ。
「そうだな、これでどうだ?」
僕は収納から槍を10本ほどと、また紐とナイフを出す。これで梯子的なものを作ったら天井にも手が届くだろう。
「お兄さん、なんでそんなに槍を沢山持ってるの?」
アマンダが尋ねてくる。
「そりゃ、何かあった時に売ろうと思ってだよ」
さすがに苦しいか。
「はいはい、そうよね。槍って便利だからよく売れるからねー」
んー、なんかアマンダにはバレてるっぽいな。まあ、けど、これくらいしか脱出方法を思いつかないからしょうがない。
チェルシーとアマンダはキャッキャ話し合いながら槍と紐で不格好な梯子を作る。槍は多めに出してるから方法は幾つかはあると思うが、結わえた槍を並行に2本並べてその間に紐を張っていく。槍の柄のグリップとか装飾とかの細くなってる所で槍と槍を繋いで、またそこから槍と槍の間に紐を通しているので、左右非対称で、間隔が空いた梯子が出来た。僕はそれを見ている。手伝ったら彼女たちの経験にはならないからたまにアドバイスを出すだけで見守っている。床に天井まで届きそうな梯子が出来た。それをチェルシーが立てる。ギリギリ天井に届かないくらいだ。それをアマンダが登り始める。アマンダのローブは膝下くらいだから、下から丸見えなんじゃと思うが、どう見てもアマンダよりチェルシーの方が力有るから当然の選択だろう。チェルシーの身長より少し上まで登ったとこで、アマンダがぐらつき始める。あ、倒れる。しょうがないな。僕はチェルシーの前側に倒れて来た梯子を支えてやる。
「ありがとう」
梯子の上からアマンダが礼を言う。
「色々貸して貰って図々しいけど、お兄さん、梯子押さえてて貰えない?」
「ああ、いいが」
槍の持つ場所を移動させて、梯子を再び立てる。そして、チェルシーと二人で梯子を押さえる。どうしてもチェルシーとの距離が近づく。
「お兄さん、力持ちだな。あいつ小っこい割りには重いだろ」
僕的には軽いんじゃと思うけど、それを言うとチェルシーのプライドを傷つけそうだし、ノーコメントだ。
「何言ってるのよ。あんたの方が重いでしょ。私がデブみたいじゃないの」
「そりゃ、私の方がタッパあるから当然じゃん」
今日び、『タッパ』ってあんまり聞かないが、工事現場では使う言葉だ。建物が高いのをタッパがあるって言う。
「お、おいっ、兄さん、上、上」
チェルシーが焦って顎で上を指す。どうしたんだ?




