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 ワープポータル (3)


「いつまでこうしとけばいいんだ?」


 さすがに辛い。何もせずに立ってるってのは。背中越しに聞こえてた汁を啜る音が消えてしばらくしたから声をかける。


「ゆっくりだ。ゆっくり振り返れ」


 戦士の声がする。僕はゆっくりと振り返る。だらしなく手足を投げ出した女の子が二人。僕は二人を観察する。戦士っぽい女の子は鎖帷子の上から肩当て胸当てを付け、金属の小手と脚絆を付けている。地面には広刃の直刀。握りの武骨さから数打ちだろう。片手で扱える剣しか持ってないと言う事は、魔法戦士かもしれない。片手剣を持ってて盾を持っていない人は、印を組む必要がある魔法を使う事が多い。もう片方の女の子は黒いローブで傍らにスタッフがころがっている。ローブは上質な布を使っていて、スタッフは中々良さげに見える。水晶球を木にはめ込んだもので装飾が施してある。


「何、ジロジロ見てんだよ」


 戦士が睨んでくる。確か名前はチェルシーって言ってたな。なんかお菓子、キャンディでそういう名前のものがあったからすぐに覚えた。その飴は最近販売中止になったらしい。理由は『顧客ニーズの変化』だそうだ。最近の子供たちは飴ちゃんを食べなくなったのだろうか?


「あ、悪い。別にジロジロ見る気は無かったんだが。あんたら、ここいらで見たこと無いって思ってな」


 出来るだけ、弱そうに話す。イメージ、迷子になった商人だ。


「私だって、お前を見たことは無い。お互い様だろ」


「チェルシー、食べ物貰ったんだから、もっと優しくしなよ」


 まだ魔法使いはチビチビスープを飲んでいる。もしかして猫舌だったのか?


「優しくしてる。そうじゃなきゃ、剣をブッ刺してるとこだ」


「もう、素直じゃないんだから。おじさん、この娘、男の人の裸を始めて見たから興奮してるのよ」


「んー、なんだ、あんた興奮したら人に剣を突き刺すのか? よく今まで捕まらなかったな」


「そんな事するわけ無いだろ。んな事より、あんたは何者なんだ?」


 若干戦士の顔が赤い。戦士なんかしてたら、男の裸なんかよく見るはずだろ。箱入り娘なのか?

 それより、何者って聞かれたけど、僕の事はなんて言おうか? やっぱこういう時の定番。正体は隠して、ポンコツに見えたのに、実は凄い人ムーブで行くとしよう。けど、僕は何でもすぐ顔に出るから嘘はつかない。 


「俺の名前はザザ。しがない荷物持ちだ」


「「嘘つけ!」」


 二人の声がハモる。


「なんでそう思う? なんかおかしな事あるか?」


「ただの荷物持ちがそんなバキバキな体の訳ねーだろ!」


「普通のアイテムボックスにはアツアツの食べ物が入ってる訳ないわ!」


 え、なんかこの娘たち賢い? なんか新鮮な感じだ。

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最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
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