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 気付いて無いのか? (前)


「今日は多分ボウズね。そらそろ諦めて帰りましょう」


 あたしは隣に座ってる眼鏡の冴えない男に声をかける。


 あたしの名前はマー。本名はマリアンだけど、女っぽい名前だと嘗められるかからそう名乗っている。仕事は荷物持ち。あたしの中に流れる獣人の血のお陰で、力と持久力だけは自信がある。まあ、薄いから力持ちなのと、耳が尖っててモフモフなだけだけど。その変わり戦いはからっきしだから、荷物持ちをしている。戦い方ってセンスが無いと我流じゃ強くなれないのよね。だから、荷物持ちしながら冒険者たちの戦い方とかを見ながら学んでいる。

 ここはギルドのロビーの入り口から入って左手前のテーブル。俗に言うポーターテーブルだ。ここにいるのは荷物持ち。冒険者たちはあたしたちに仕事があると声をかけてくる。


「んー、俺は時間あるから、もう少し粘る」


 隣の男は本から目を離さずに答える。何の本? 背表紙を見ると『最強の荷物持ち』と書いてある。あたしは言葉をあんまりしらないけど、よく見る言葉だから読む事が出来た。けど、大丈夫か? この人、自意識過剰なんじゃ?


 隣の男は眼鏡に半袖のシャツにパンツ。椅子の下にリュック。まあ、荷物持ちに見えない事は無い。あたし以外はそう思ってるだろう。いや、あたしみたいに気付かない振りしてるのかもしれない。

 この男は、間違い無くただ者じゃない。半袖から出ている腕。太い。

 まあ、荷物持ちだから力あるのは当たり前かもしれないけど、沢山の冒険者を見て来たあたしだから分かる。筋肉の溝の彫りがめっちゃ深い。無駄な肉が腕に全くついてない。これは毎日休む事無く重いものを使い続けてる証拠。こんな奴が荷物持ちな訳が無い。いくら荷物持ちだって、そんなに重いものをずっと持ち続けるような仕事はしない。あたしだったらキャンセルする。

 聞いた事がある。たまに王都のギルドに『最強の荷物持ち』が身分を隠して、普通に荷物持ちしてると。あたしはそうだと確信している。確かめてみたいけど、ばれたら恥ずかしがって消えるらしい。なんかいい方法無いかなー。気になって夜寝られなくなりそうだ。そうだ、名前聞いてみよ。


「ねー。あんたなんて名前なの? あたしはマー」


「んー、ザッ、ザザだ」


 あ、今、もしかしてザップって言いそうになった? あたしは顔を逸らす。顔がニヤけてしまいそうだったからだ。こりゃチャンスかも。最強の荷物持ちと仲良くなれるかも。話では女の子何人もハーレムに囲ってるらしいし、上手くやったら、あたしも参加できるかも!


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最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
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