砂かけばばあ現象
バチバチッ。
風が吹いたかと思ったら、何かが体に当たる。砂? 痛くは無かったけど、口に入った。
僕は腰を落とし身構える。また新手の暗殺者か? けど、辺りに人の気配は無い。辺りを見渡し、警戒を解く。
「なんだったんだ今のは?」
今も辺りは誰も居ない。答えてくれる人は居ない。
今僕は夜の神殿の前を歩いている。
一人で出稼ぎに行ってたんだが、思いのほか時間ガかかってしまって、今帰宅してるとこだ。
僕らが今住んでる街は神殿のある広場を中央に放射線状に道が走っていてどこに行くにもまずは中央広場から移動した方が分かり易い。僕らの家はその真ん中から東西に向かう大通りに沿ってある、ラパンが働いてるレストランの裏にある。神殿から西に10ブロックほど進んだとこだ。
仕事を終え、大通りを東から西に帰ってて、神殿の前でいきなりそれは起こった。
何が起こったのかもう一度考える。風が吹いたかと思うと、僕にバチバチ砂が当たって来た。なんかの攻撃かと見渡すが誰も今は居ない。道は石畳で掃除が行き届いていて、砂粒1つ無い。今僕にぶつけられたの以外。警戒しながら進み、神殿から離れたとこで、収納から水を出して口をすすぐ。なんか口にも入ってジャリジャリしてて気持ち悪かったからだ。
なんか納得が行かないまま家に帰る。家には物知りの導師ジブルがいる。なんか知ってるだろう。
「それは、『砂かけばばあ』よ」
見た目幼女の導師ジブルは椅子でドヤッている。ここはリビング。マイはご飯を作ってくれてて、アンは寝てる。僕は詳細をジブルにつぶさに説明した。
「なんだそりゃ?」
「東方和国の妖怪で、人に砂をかけるらしいわ」
人に砂をかける妖怪? 目潰しなのか?
「はぁー? 妖怪? で、なんで人に砂をかけるんだ?」
「知らないわよ。かけたいからかけるんじゃないの?」
「なんだ、お前にも分からん事があるのか」
「そりゃそうよ。私だって万能じゃないんだから。まあ、妖怪がどうかは置いてて、それは『砂かけばばあ現象』って呼ばれてるわ」
『砂かけばばあ現象』? なんかしまらない名前の現象だな。
「あ、わかった。なんで起こるのか分かんないから、妖怪のせいにされてるんだな」
「まあ、そんなとこよ。多分。そう言えば、昔聞いた事があるけど、空飛ぶ動物や魔物が飛んだ時についてる砂を落としたのがかかったって説があるわ。私的には信憑性が高いと思う。それが丁度風に攫われたんじゃないかなー」
鳥とかが落としたもの? 糞じゃ無くて良かった。そしたら、ジブルは『くそかけばばあ現象』って言ったかもな。けど、よろしくない言葉だな。
「要は何か分からんって事か」
「まあ、なんか上空から鳥が落としたって思われる魚や肉みたいなのが降って来たとかいう話もあるし、偶然が重なったら、訳分かんない事が起きたりするものよ」
「そうか。なんかモヤモヤするが、分かんないものはしょうが無いな」
「しょうが無いわよ。この世界は謎ばかりよ。少しでもその謎を解きあかして行きたいわね」
まあ、初めて聞いた現象名だからそんな頻発する事じゃないのだろう。もし、また、遭遇したら徹底的に調べよう。
砂かけばばあ現象。一度遭遇した事があります。本当に今でも原因がわからないです。
読んでいただきありがとうございます。
みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。
とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。




