姫と筋肉 海 5
「おい、お前、もっと目立たなく出来ないのか?」
僕はレリーフに噛み付く。
「せめて歩いてこい。お前が走るとそれだけで威圧感あんだよ」
奴のような巨人が歩いてるだけで、すわ戦いか? ってみんななっちまう。ちなみに今のでリッチのギャラリーが1割くらい減った。ビビって逃げたんだろう。
「お前がそれを言うか?」
「そうよね。無自覚って恐いわねー」
レリーフとリッチがジト目で僕を見ている。どうでもいいが、レリーフのジト目はレアだ。
「なんだお前ら、お前達より僕が目立つって言うのか?」
「人の容姿をどうこう言うつもりは無いが」
なんか、レリーフはこういう深慮な事良く言うよな。レリーフなのになんかムカつく。マッスルで朴念仁のくせに変な所は気を回すんだよな。
「じゃ、言うなよ」
「まあ、聞けって。見渡してみろ。お前と同じ色の髪の毛の奴いるか?」
確かに僕と同じシルバーの奴は1人もいない。目の前のマッスル以外。
「お前がいるだろ」
「お前はシルバー、私はアッシュとでも言うべきか。お前はキラキラだけど、私はくすんでるだろ。それに、お前の紅い目。見渡す限り誰も居ないだろ」
「まあ、そりゃそうだが。ぜってー、お前らの方が目立ってるよ」
「んー、じゃ、証拠ね」
リッチがブルンと立ち上がる。もげろ。そして、ギャラリーに手を上げる。
「みっなさぁーん」
鼻にかかった声。こういう声出す奴って何考えてやってんだろ? それにこれって発声練習しないと生み出せない声だよな。僕は無理無理。
「一つ皆さんに質問がありまーす。わたしたち三人の中で一番誰が目立ってるのか、一度だけ手を上げてください」
目立ちた無いのに、聞かんやっちゃなー。
「まずは、わたしたちのマスター、レリーフさま」
レリーフはポージングする。フロントダブルバイセップス! 曲げた両腕を肩より上げたポーズだ。僕的にはザ・筋肉って感じこのポージングは好きだ。普通の女の子がやってもなんか可愛いしね。ん、挙手まばらだな。
「では、ビーチの妖精のわたしー」
んー、妖精じゃなく実際は妖怪だよな。え、あんまり手を上げてる奴居ないぞ?
「では、波打ち際のプリンセス。ラパンちゃーん!」
うげっ、明らかに半数以上が手を上げてやがる。あ、そうか、男共はリッチ押しだけど、女性や子供が僕押しなんだ。なんか嬉しい。って、なんか複雑。この筋肉魔神や露出乳痴女よりも僕の方が目立ってるのか? うん、乳痴女ってなんかいい響きだな。リッチのあだ名確定だな。




