久しぶりの格闘技講座インザビーチ(後)
「決して、行儀が良いとは言えないが、柔軟を欠かさず、訓練を重ねたら、足も手と遜色なく動かせるようになる」
うん、確かに両手をついて、足を合わせている姿は行儀わるい。けど、僕もパムも目がデルのパンツに釘付けだ。きっ、際どい。
「訓練は簡単。手でやってる作業、例えば文字を書いたり、食事の時にナイフとフォークを足で使ったり、日常の生活で訓練できる」
ん、あいつ、足でナイフとフォーク使えるのか? 僕は無理だ。フォークは掴めるかもしれないが、どう頑張っても口まで料理を運べないぞ。僕の頭にエルフ達がテーブルで足で食事してる風景が想像される。そう言えばエルフは下着を着けたがらないんだよな。なんとも言えない光景だ。多分食事は男女別なんだろな。
「うちではその修行は禁止ね」
マイは腕を組んでいる。すこし不機嫌に見える。マイは行儀がいいから、みたとこ一番足を使うのが下手だ。練習はしたいけど、はしたないから隠れてしたいのだろう。
「ええーっ。マイ姉様、私もテーブルで足でご飯食べてみたいです」
「ダメよ。特にアンちゃん、家で下着付けて無い事多いでしょ。やったら、ご飯抜きね。だから、自分の部屋で誰も見てない時だけにしましょう」
「やった。おいら、足が鼻についた」
パムが座って足の親指を鼻につけている。
「私は、まだまだだな。まずは日々の柔軟体操を増やすか」
レリーフは座って右足を曲げてるが、全く届かない。なんか安心する。
「私は、補助したら出来ますね」
アンは両手で両足首を掴んで自分の額につけている。体柔らかいな。けど、ヤバい格好だよな。アンの無邪気さはたまに破壊力が高い。見ないようにしよう。
みんな自分の足の器用さを試しているが、僕は不様を晒すだけだから止めとこう。
「ん、マイは試さないのか?」
「試す訳ないでしょ。ザップのスケベ」
「いやいや、俺のどこに邪心があるのか? これは訓練だ」
「何の訓練?」
「足で砂を投げる?」
「で、どんな時に使うの?」
「そうだな。ビーチで水着で戦う時?」
「ねぇ、そもそも、こういうトレーニング以外なら、すぐに収納から武器や防具出して着ればいいじゃない? 多分、足で砂投げるの、このメンバーで模擬戦する時だけだよ」
「……そうだな」
デルの指導の元、アンとパムとレリーフは一生懸命に足でものを掴んだり足で食事するための訓練をしている。元々は格闘技の訓練のはずなのに、一発芸の訓練になってるような気が……
僕とマイはその傍ら、海でバチャバチャ水をかけるトレーニングや、寝転んで波を受けるトレーニングをする。いつの間にかみんなも合流して、海で遊ぶトレーニングをした。やっぱりそうなるよね。海最高!
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