新しい仲間
「待ってー、妖精さん。お金ーっ!」
僕は何とか妖精さんに追いつく。
「あ、ごめんごめん、で、いくらなの?」
「銀貨2枚と銅貨5枚です」
妖精さんは、何もない所からお金を出して僕にくれる。どうなってるのだろうか?不思議だ。
「あー、そうだ!」
妖精さんは低空飛行で、僕のメイド服のスカートの中に入ってきた。
「妖精さん、なにするんですか!」
「証拠ゲーーーーット!見たわよ、あんた金のパンツ穿いてるわねー!」
「え、今、金のパンツ流行ってるんですよ、みんな穿いてますよ」
「んな訳あろかーい!この世の中で、金のパンツ穿いてる悪趣味なのは、あんたとリナだけだわ。間違いないわ、あんたザップだわ!」
「待って下さいよ、僕、女ですよ、ザップさんって男の人でしょ?頭おかしいんじゃないですか?」
「頭おかしい訳ないでしょ、あー、イライラする。自分でした事ながら、リメンバー!」
妖精が舞い上がって僕の頭に粉を振りかける。けど、何も起こらない。
「あっちゃー、さすがあたし、忘却の魔法強すぎたわ。ぜんぜん解除できないし、あとは無理矢理思い出してもらうしかないわね」
妖精は頭に手をあててる。
「という訳で、あたしはあんたにつきまとうわ!思い出して貰わないとどうしようもないから」
そう言うと妖精は僕の頭の上に乗っかってきた。
なんか訳わかんないけど、悪い妖精じゃないみたいなので、そのまま僕は店に戻った。
「ラパンちゃんどうだったの?頭に変なのついてるわ」
マリアさんが駆けよって来る。
「変なのちゃうわよ、可愛い妖精よ!」
妖精は僕の頭から飛び立ち、マリアさんの目の前で腰に手をあてる。
「マリアさん、この妖精さんさっきの緑の服の女の人なんだよ。お店の手伝いしてくれるそうだよ」
「何言ってんの、あたしがいつ手伝うって言ったの?もしあたしに合うそのメイド服があるなら少しは働いてもいいわよ」
「あ、ちょっと待ってて」
マリアさんは僕達の居住区の二階に走って行った。
店内はもう落ち着いて、お客さんは一人もいない。厨房の方からガチャガチャと皿を洗う音がする。
「これ、ちょうどいいんじゃないかしら」
戻って来たマリアさんの手には人形が握られている。僕と全く同じメイド服を着ている。
「これ、メイド服の試作品よ、まさかこれが役立つ日がくるなんて」
マリアさんの目がきらきらしている。
「おうっ、まさか本当にあたしサイズの服があるなんて……ジャスト墓穴。けど妖精に二言はないわ。しょうがないからその服着てあげるわよ。ザップ、もたもたしてないで、早くその服着せなさいよ!」
「僕の名前はラパンだ。ザップじゃないよ」
妖精は僕の頭の回りをくるくる飛び回る。うざい。メイド服着たかったのか。僕はマリアさんから受け取って、妖精に着せてみる。少し大きいけど、気にならない程度だ。
「どう?どう?似合う?似合う?」
妖精は僕達の前でクルクル回る。スカートがふんわりと広がる。
「うん、似合ってるよ、可愛いよ」
「でしょでしょ!あったりまえじゃない!」
妖精はふんぞり返る。よく動き、よく喋るな。なんかリスやネズミをみてるようだ。
「看板に妖精入荷しましたって書かないとね」
マリアさんが僕に微笑む。
「入荷って、あたしは食材か!」
こうして『ミミズクの横這い亭』に新しい仲間が入った。
妖精ミネア。いっつも自由人で喋りまくります。これからラパンのいい?相棒になります。イメージ、俗っぽくなったティンカー・ベルです。
みやびからのお願いです。
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