海での最優パーティー 15
「なんか、雑に隠されてるけど、多分、扉だね」
パムが銀色の壁の回りの石をどけていく。壁が少し窪んでいて、それを石で埋めて隠してあるようだ。あらよあらよとパムが扉を掘り起こした。岩壁にはめ込まれていて、明らかに扉に見えるけど、ノブとか取っ手がついてない。こんなとこになんで扉? もしかしたら、新しい迷宮かも。
「古代王国時代の金属っぽいね。まあ、オイラには何で出来てるか分かんないけど」
ただ金属見ただけで、どうして年代が分かるのか? 銀色でスベスベで、普通の金属にしか見えない。
「ザパンさん、なんでって顔してるけど、普通の金属は海辺では錆びるんだよ。魔力も感じかないから魔法で保存してる訳じゃなくて、錆びにくい金属だと思われるよ。けど、それって、今は製法が失われてるんだよね」
たまに、パムも真面目な事を言う。いつもこうだったらいいのに。
「この大きさからして、人間が出入りしてたんだろな」
デュパンがパムの後ろから扉を眺めている。
「もしかして、ドラゴンの宝物庫?」
「それは無いな」
ジニーにデュパンが答える。そうだよな。ドラゴンがどうやっても通れる大きさじゃない。
「罠、調べるよ」
パムが扉をコツコツ叩いたり、撫でたりしている。そして、耳をつけて目を閉じまたコツコツする。
「何も罠は無いね。音から多分中は部屋だね。物はあんまり無さそうだ」
やっぱスカウトは凄い。叩いた音響でその奥にがどんな感じか分かるらしい。何度かパムがこうしてるのを見るが精度はたかい。
そして、扉についた模様に見えた四角いものに指をかけたら、パカッとそこが開いた。窪んだとこに1から9の数字とその下に、Cと0とEの三つの文字がついたボタンがある。これは魔道都市でたまに見るパスコードの入力端末だな。何桁かの数字を打ち込んでEを押したら開くってやつだな。パムがその文字を横から見る。
「このコード、簡単すぎ、1と9しか汚れてないじゃん。だいたいコードは四桁だから、覚えやすい、1919か9191のどっちかだろうね。まあ、そうじゃなくても片っ端から試したらすぐに分かりそうだよね」
「1919だ」
レリーフが口を開く。
「ここは、魔道士の隠し研究所だ。私は専門じゃないから分からんが、巨大化の魔法装置が置いてあるそうだ」
「えっ、レリーフ、またやったのかよ。オイラの努力が無駄じゃないかよ。で、何と話したんだ?」
「そこに浮いてた、ここの所有者だ」
まじか、レリーフは死霊魔術師、そこらの浮遊霊と魔法を使って会話が出来る。なんて言うか、伏線もフラグも全部へし折ってしまう。ミステリーの敵だ。巨大化の魔法装置? ここらの巨大生物はもしかしてそれで生み出されてるんじゃないか?
「いくいくっと」
パムがボタンを押す。パタンと扉が開く。それにしてもなんでパスコードが1919なんだ? ここの制作者はパムの同類なのか?
中に入ると正面はカウンターみたいになってて、数脚の椅子がある。右には本棚があり、沢山の本が収納されている。そして左手は棚で見たことが無い機械のようなものが沢山ある。




