海での最優パーティー 12
「さあ、一緒に戦いましょう。勇者様」
ジニーはまるで聖母のように微笑む。肩口切りそろえたピンクブロンドのサラサラな髪、整った眉パッチリとした目に桜色の唇。美少女。紛うことなき美少女。
初めて会った時には地味でそこら辺にいる少女だったのに、強さを手に入れた自信が彼女を変えたんだろう。キリッとしてて少しフワフワ系で表現が難しい。要は、美人可愛いとでも言えば良いだろうか。
その美少女が前かがみでビキニの胸をさり気なく誇張している。あざとい。けど、普通の男だったら、そのお願いを容易く受け入れる事だろう。
ぺしっ。
僕はその手を払う。だって、今、女性だもんな。なんかこのスキル使うと女性にときめかなくなるんだよな。
「ちょっとー、ザパンさん。もしかして邪悪な水竜を放置する気? 絶対大災害になるわよ」
「大災害はお前らだろ。あいつ、大人しそうじゃねーか」
「何言ってるのよ。寝てる時は誰でも大人しいわよ。ザパンさんだって寝てる時は大人しいわよ多分」
「多分じゃなくて大人しいわ。まあ、冗談はこれくらいにして、あれだけのデカいドラゴン。噂になってるものなんじゃないか? パム、何か知らないのか?」
「そうですね。オイラ、ここの近くで狩りしてるけど、あ、『カリ』ってハンティングの事ですよ。ちんちんの先っちょの事じゃないですよ」
「わかっとるわ。話を進めろ」
「その、カリをしてるんですけど、そういえば、マイさんって『首カリのマイ』って呼ばれてますよね。順番変えて『カリ首のマイ』ってしただけで、かなり卑猥になりますよね」
「黙れ。それ、マイに言ったら、頭と体が百パー泣き別れるぞ」
「ですよねー。前に『首狩りのマイ』って二つ名はゴツすぎるから、もっと女の子っぽく、頭に『ち』をつけて、『チクビかりのマイ』にしたらどうですかって、提案したら一ヶ月くらい命狙われましたからねー」
「確かに女性っぽくはなるけど、それは禁句だな。て言うかよくお前逃げ延びられたなー」
マイは恐るべきハンターだ。それに四六時中狙われて五体満足でいられる自信は僕には無い。さすが、最高クラスのスカウトだ。前にマイがひと月程やたら外出してたのはそれだったんだろう。いつも不機嫌だったもんな。
「王都で有名スイーツ店をほぼ全てはしごして買い集めて、土下座で献上して、なんとか赦してもらえました」
あ、あのやたら沢山美味い菓子をマイが食べさせてくれたのはパムからだったのか。そっか、土下座とスイーツでマイは怒りを解いてくれるのか。心に刻んどこう。




