海での最優パーティー 3
「ザパンさーん。今日の夜、暇ですかぁー」
鼻にかかった甘ったるーい声をジニーがだす。ジニーはがっしりと僕の腕にしがみついてる。いつもだったら大歓喜だけど、今は女のザパンなんで何とも思わない。
「暇もなんも、今晩はみんなでバーベキューだろ」
「その後ですよ。お洒落なバー見つけたんですよぉー」
聖騎士って確か正義の使者的なものだよな。バーで酒飲んだりしていいのか?
「おいおい、ジニー、ザパンさんが困ってるだろ」
犬男のデュパンが助け船を出してくれる。
「犬はお家でミルクでも飲んでなさいよ」
「お前なー、言っていい事と悪い事あるだろ」
「んー、あんたやる気? ちょっとー、パム、近すぎるわよ。何、ザパンさんのお尻ガン見してるのよー」
振り返るとパムがすぐ後ろにいる。
「しょうがねーだろ。おいら小っこいんだから」
「前歩きなさい。前」
「おい、そろそろ休んで筋トレしないか?」
先頭のレリーフが振り返る。
「休んでもいいけど、ちゃんと休みなさいよ。筋トレしたら休憩にならないでしょ!」
「お前だって呼吸してるだろ。私にとって筋トレは呼吸と一緒だと言ってるだろ」
「お前ら、少しは大人しくしろよ。ザップさんが困ってるだろ」「わんっ」
「おいコラ、パム、ワンって言うな」「わんっ」
「犬じゃねー、狼だ。かみついてやろーか!」
「いい加減にしろ! お前ら少しは黙れ!」
我慢出来ずに叫ぶ。
「「すみませんでした」」
僕は、今、王都最強パーティー『地獄の愚者』の4人と海縁の洞窟へと向かっている。目的は海鮮の確保だ。その洞窟には巨大蟹や巨大海老などの巨大海鮮がたまに来るらしく、今晩のバーベキューの具材にするためだ。
それにしても酷いものだ。コイツら全く協調性がない。パーティー組んでる意味あるのか?
僕たちは岩場で腰掛けて少し休憩を取る。ジニーは僕にべったり。暑いっつーの。パムは僕とジニーをニタニタしながら見てる。姿が女の子なら誰でもいいのか? レリーフは奇声を上げながら筋トレしてて、デュパンはこっちに頭を向けて伏せて尻尾ブンブンしてる。棒でも投げて欲しいのか?
酷い絵ずらだ。今の僕らを見て、誰も最強パーティーだとは思わないだろう。ん、遠くに人影が見える。海パンに反った剣を手にした男が4人。ここらは危険な地域。一般人は来ない。という事はもしかして海賊なのか? わくわくするぞ。
「おい、お前ら、誰に断っていちびってやがる!」
ハゲに眼帯の男が声を張ってくる。良かった。シートルに来て。王都だとコイツらの誰かと居ると、誰も声かけてくれないもんな。




