因縁の戦い 8
「しぶっといすね! デル!」
アンジュが顔を紅潮させている。
「馬鹿力っ! けど、負けないっ!」
デルの全身もピンク色に染まっている。多分アンジュの方が腕力がある。それに対してデルは力が入りやすい体勢に持ち込む事で耐えて持久戦に持ち込んでいる。ほんの少し力の拮抗が崩れるだけで、勝負は決まるだろう。力試しは。
プツン、プツンと音が聞こえそうだ。デルの背中のブラ紐が少しづつ千切れて細くなっていってる。2人ともマイに合わせたのか肩紐は無い。それが良かった。リーチだ。あと少しで千切れる。多分この2人はそんなの関係なく戦いを続ける事だろう。僕はこの戦いを見届けないといけないから、不本意ながら見守るとしよう。
「押し潰すーーーーっ!」
アンジュが叫ぶ。
「なんのこれしきーーーーっ!」
デルも叫ぶ。だが、ジリジリとデルが押されていく。あ、体勢が変わったせいで、デルの紐が少したゆんだ。
ブチン。
えっ、小さな音が聞こえた。と言う事は、アンジュのブラが開く。おお、緩やかに感じる時間の中、僕はサングラスは彼女らの顔を見てるようにしながら、目はアンジュの胸を追う。
「はい、ここまでっ!」
マイの声、そして、視界が何かに覆われる。背中になんかヒンヤリとしたものが当たる。
ブチ。
更に何かが千切れる音がする。
「はい、アンジュ、しっかーく! 勝者、デル! 2人とも止めて、水着をつけなさいっ!」
後ろでマイが声を張る。あ、まじか、2人とも水着が取れたのか。見たいけど、動けない。間違いなくマイが背中に抱き着いて腕で僕の顔を覆っている。肩にはなんかやらかいもの、背中にはお腹が当たっててヒンヤリスベスベだ。いかん、このまま時が止まればいいのに。
「水着はノーカンだ。アンジュ、デル、俺は見てないから、決着をつけろ」
喜びを漏らさないように低い声を出す。
「しょうがないわね。はしたないけど、心ゆくまで戦えばいいわ」
よしっ、勝負が決まるまで、マイが抱きしめててくれそうだ。これって、僕じゃなくマイの意思だからね。
「マイ姉様、ご主人様、口元が緩みまくってますよ」
「えっ!」
マイは自分がしっかり抱き着いてる事に今気付いたみたいだ。アン、余計な事言いやがって。バッとマイが離れる。一瞬、勝負してる2人が見える。ほぼブリッジで耐えてるデルと、覆い被さるように攻めてるアンジュ。残念な事に2人は密着してるから先端は見えなかったけど、ひしゃげてるブツが……
瞬時にマイが僕の前に立って隠したけどバッチリ見えました。
「ルル、ミカ、止めさせて」
「「はいっ!」」
すぐに勝負は中断されて、マイがどいた時には2人は新しい水着をつけていた。
「くっそー、ほぼ勝てたのに、水着で負けたっすねー」
「勝負は勝ったけど、内容は負けよ」
「あとすこし、私の胸がちっちゃかったら勝ててたっすねー」
「私に喧嘩売ってるの?」
「売ってもいいっすけど、体ベタベタだから、泳いでからっすね」
「そうね、海入りましょ」
2人は肩を組んで海へと歩いていく。友情でも芽生えたのか?
「で、あんたたちは、するの? 相撲?」
赤い顔でマイがミカとルルに問いかける。
「止めてときます。水着で相撲するべきじゃないって感じました」
ミカも海に向かう。
「なんか、ザップさんを喜ばせるだけになりそうですしね」
ルルも海に向かう。
「あたしも、泳ごっ」
赤い顔でマイも行く。
どうやら、僕と戦う的な話は海なだけに波にさらわれて消えてしまったようだ。良かった。
ビーチは遊ぶとこ。水着で相撲はよろしく無い。やっと彼女たちは学んでくれた事だろう。水遊びをしてる少女たちを見ながら、僕はブラッディーマリーを口に含む。ビーチ最高!
因縁の戦い Fin
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