因縁の戦い 5
「はい、ブラッディーマリー」
マイがビーチチェアの横にテーブルを出して、僕に赤い飲み物を手ずから渡してくれる。これは僕専用の激弱ブラッディーマリーだ。クラッシュドアイスに微量のウォッカ、それにトマトジュースに『始まりのウスターソース』、マドラー代わりに葉っぱつきのセロリスティックがぶっ刺さってる。脇に塩とブラックペッパーのミルにタバスコソースも添えてある。お好みでスパイスを入れる形だ。
グラスをテーブルにおいて、塩とブラックペッパーのミルを1コリコリして、タバスコを一滴たらしてセロリで混ぜる。まずはセロリを一口囓り、グビッと口に含む。
サイコーだ!
スパイシーで冷たいトマトジュースが僕の喉を滑り落ちる。ちなみにこれはあらかじめマイが作ってくれてたものだ。夏は特にトマトが美味しい。それをジュースにするなんて贅沢の極みだ。昔、僕が子供だった時にはトマトジュースなんて地獄な飲み物だったのに、大人になって飲んだら、コレ美味いじゃんって考えを改める事になった。セロリも同様、ジャリの時分にはクソ不味いなって思ってたのに今は好物だ。人は変わっていくものだ。
「マイは、なんか飲まないのか?」
なんか自分だけ贅沢してるようで良心の呵責を感じる。
「んー、あたしはモヒート」
マイも机を挟んだ所にビーチチェアを出してバラソルを砂浜に刺して寝転ぶ。そして収納からドリンクを出して机に置く。モヒート、クラッシュドアイスにミントをふんだんにいれて、ラムを炭酸で割ったものだ。これもあらかじめ用意してたものだ。まあ、マイに準備させてた時点で、もしかしたらビーチに来る事はバレてたかもしれないな。
「じゃ、そろそろ始めるっすね」
アンジュがマイに伺いを立てる。まじで、ビーチで寝っ転がってカクテル飲みながら、美少女達の相撲を見る。まさに酒池肉林って言葉っぽいな。なんて贅沢なんだ……
しかも一流冒険者の相撲だ。これって貴族、貴族の遊びだよな?
まずは、アンジュとデルが戦うみたいだ。マイは一口モヒートを飲むと立ち上がり土俵に寄り口を開く。
「ルールは単純、足以外が地面につくか、土俵から出たら負け。禁止事項は相手の水着を脱がしたり脱ぐ行為。その時点で負けね」
うん、当たり前でマイっぽいルールだよな。まあ、せっかくだから、相手の水着を脱がしたら勝ちとかにして欲しかったけど、それじゃまるっきり薄い本だもんな。ルルの好物だ。
けど、水着で相撲、間違いなく誰かは脱げそうだよな。なんかいかんけど、ワクワクしてしまう。
「私がリーダーだってとこ、しっかり証明するっす」
アンジュが両手で頬を叩く。気合い十分。まじ力士っぽい。
「徒手空拳では、私が有利。森人角力4000年の歴史を見せてあげるわ」
デルはその場で四股を踏む。デルのかなり頭の上まで足が上がってる。デル、くっ、食い込んデル。ビキニで四股ってなんかエロいな。その前にシコって言葉がなんだかなー。
某、王都で人気の格闘の話でやってた相撲編は人気イマイチだったって噂を聞いたけど、美少女達が繰り広げる相撲はかじりついてしまいそうだ。
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