因縁の戦い 2
「ザップさん、何やってるんすか?」
海から上がるとアンジュが勢い良く駆けてくる。元気だな。赤い髪に合わせて赤いビキニだ。フリフリついてて可愛いらしい。
「じゃ、泳ぎましょう勝負は私の勝ちって事でいいっすね」
「勝ちも何も勝負してねーし、その前に勝負にならんわ」
「そりゃそうっすね。ザップさんがカナヅチだって言うのは周知の事実っすからね。苦手な分野で勝っても下克上にはならんすねー」
「おいおい、泳げねー事言いふらすなよ。格好悪いだろ」
「大丈夫っすよ。泳げても格好良くない事には変わんないっすよ」
「おいおい、喧嘩売ってるのか? マイ、コイツらを懲らしめてやれ」
「何言ってるのよ。嫌よ。まあ、アンジュ達も更に強くなったみたいだから、ザップの胸を借りたいのよ」
胸を借りる? なんか少しビーチでは引っかかる表現だな。
「やっぱり、海と言ったら相撲。相撲で決着つけるべきだわ」
金髪麗人のデルが棒を手に、砂浜に何か書き始める。こんなとこに土俵を作るつもりか? 普通女の子ってこういう時はなんか花とかそういうもの書くもんだろ。土俵が完成しそうだ。色気も何も無いな。デルが着てるのは、金髪に合わせてか、黄色いビキニ、しかも布面積が少ないやつだ。普通の人が着たら下品になりそうだけど、彼女の涼しげな顔やすらりとした体は何を着ても様になる。んー、海と言ったら相撲って、山でも森でも同じような事をこの人言ってたな。けど、水着で相撲なんかしねーよ。マイに怒られるわ。
「いいですね。いいですねー」
巨大な胸をブルンブルン振るわせながら、ルルがぴょんぴょん飛んでいる。着てるのは青色のワンピースだ。多分ビキニだとはみ出るからだろう。こいつ、絶対わざと見せつけてやがる。見ないようにしないと、マイの視線が凍りまくる。
「猿人間魔王VS可憐な少女4人インザビーチ。次の短編はノンフィクションで行けそうね」
コイツは事ある毎に僕をストーキングして小説にしやがる。まあ、知名度が上がれば僕の勇者力と魔王力が上がるから、放置している。
「なんかいかがわしい本のタイトルみたいだな。だから、お前らとは何も競い合わないって。そんな事よりせっかく海に来たんだから、ゆっくりしよーぜ」
僕は収納からリクライニングチェアを出して座る。あと、サングラスも装備だ。
「そうですけどー」
僕を神官戦士のなんとかさんが覗き込んで来る。彼女は紫色のワンピースだ。ルル程じゃないけど胸がデカい。
「せっかく久しぶりに集まったんですから、少しはザップさんに稽古つけて欲しいんですよ」
ヤバい、前屈みで胸の谷間が強調されている。
「ミカ、近いって」
マイが助けてくれる。僕だって若い男だ。そうだ彼女の名前はミカだ。ミカ、ミカ、ミカ。頭の中で連呼する。これで覚えたか?
「ザップー。せっかくだから遊んでやりなよ」
まあ、マイがそう言うなら、考えてみるか。けど、ふと思ったけど、いつもみんな水着の色が被らないな。打ち合わせしてるのか?




