因縁の戦い
「ご主人様ーっ」
「ザップー」
アンとマイがやって来る。アンは水着を着ている。マイに着させられたんだろう。これにて一件落着だ。けど、なんか胸騒ぎがする。誰かに見られて居るような。
「どうしたの、ザップ。動くの止めて……」
マイが言う通り、僕はバタ足を止めた。来る。これは誰か来る。僕の微妙な勘がそう伝えてくる。
「ザップ兄様ーっ! 大丈夫っすかーっ!」
この声と三下風の言葉遣いはアンジュ。マイとアンが前に鍛えた少女冒険者4人のリーダーのアンジュだ。やっぱりビーチに僕らを追っかけて来るのは強さの順か。リナがワープポータルの設置に大金を求めている以上、そうなるのは目に見えてるけど。
アンジュの所属する冒険者パーティーは王都で名を上げて、その後迷宮都市をねぐらにして過ごしている。彼女たちは兎に角強い。手を抜いたら僕でもやられそうだ。
リーダーのアンジュはくせっ毛で赤い髪が特徴だ。職業は戦士。元々は騎士になりたかったとか言ってたような気がする。
斥候役は野伏のデル。サラサラ金髪のエルフの麗人だけど格闘技オタクのバトルジャンキーだ。
パーティーの頭脳で魔法攻撃を担当しているのは、魔法使いのルル。特徴は巨乳で僕をしつこくストーキングして、なんか本を書いてる。売れてるらしい。
あと、黒髪ポニテの神官戦士のなんとかさん。影が薄いからいつも名前を忘れてしまう。
けど、声はしたけど、姿が見えない。どこから呼ばれてるんだ?
ドボン! ドボン! ドボン! ドボン!
僕の回りに何かが落ちてくる。
四つ?
奴らだな。水柱を見ながら確信する。波に攫われるが浮き輪はしっかり離さない。マイとアンは泳いで僕から距離を取る。と言う事は打ち合わせ済みか。僕の前に四つの頭が浮かぶ。アンジュ、デル、ルル、なんとかさんだ。
「ザップさん、勝負っす。ここは海、海にちなんで泳ぎで競いましょ。先にビーチについた者が勝ちです。では、せーのでスタートっすよ」
ん、いきなりやって来て何言ってるんだ。
「せーの、はいっ!」
アンジュ達4人は僕に背を向けると、泳ぎ去る。早い。さすがは上級冒険者だ。けど、なんで僕が泳ぎをアイツらと競い合わにゃならんのだ?
「ザップー、構ってあげなよ」
マイが声をかけてくる。
「なんで?」
なんでわざわざ泳げない僕がアイツらと泳ぎの勝負しなきゃならんのだ。
「負けず嫌いのご主人様にしては珍しいですね」
アンも煽ってくる。
「勝負も何も、俺たちは休暇に来たんだろ。疲れてどうするんだよ」
おお、アイツらはえぇなー。もう半分くらい進んでる。僕が付いてきて無い事気付かないのか?
僕らはゆっくりとビーチに向かう。
うう、また書き足しますm(_ _)m




