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 姫と筋肉 討伐依頼 2


「ありがとう。お陰でまたトレーニングできる。だがその前に、借りは返さないとな。お前、これから仕事だろ。手伝ってやるぞ」


 レリーフはむくっと起き上がる。相変わらずでけーな。


「そっか手伝ってくれるのか。今日受けたのは討伐依頼だからな。お前のような強い奴が居ると助かるよ」


 今日受けた依頼はゴブリンの巣穴潰し。殲滅系の依頼は面倒くさいけど、ゴブリンだから報酬はしぶい。治安維持のためのボランティアのようなもんだ。


「それでは、案内してくれ。まあ、どんな依頼だったとしても、お前から貰ったクスリ代の足しにもならんとは思うが、まあ、気持ちだ。場合によっては俺の部下も呼んでやるから」


 レリーフの部下……


 嫌な思い出しか蘇らねー。コイツはこう見えても本職はレア職の死霊魔術師。はた迷惑なアンデッドを回りの事を考えず召喚しまくりやがる。


「ありがとう。気持ちだけ受け取っとくよ。お前、筋トレで忙しいだろ。ここで心ゆくまで筋トレしとけ。じゃ、アデュー」


 僕はレリーフを背に駆け出す。危ない危ない。流されるとこだった。コイツとつるむとロクな事は無い。逃げるが勝ちだ。


「相変わらず遠慮深い奴だな。気にするな」


 ゲッ、追っかけて来てやがる。


「遠慮じゃねーよ。来るな。迷惑なんだよ」


「やはり全力で走るのはいいな。大腿筋、大殿筋に良い感じだ」


「ついてくんなよ」


「そうか! お前も大殿筋を鍛えてるんだな。お前は女の子にしては肉付きが悪すぎる。鍛えて肉をつける気だな」


「余計なお世話だ。僕はこれから肉がつくんだよ」


「お前は女の子だろ。自分を僕と言うな。男と間違われるぞ」


「余計なお世話だ。話し聞けよー!」


「ほう、なかなか良い走りだ。だが私も負けないぞ」


「だからついて来んなよー!」


 なんだかんだで走り続け、目的地までレリーフはついて来やがった。



「ほら、お前が来ても何の役にも立たないだろ」


 僕は洞穴を指差す。この中にゴブリンの一団が巣くっている。見張りがいたんだけど、レリーフを見て一目散に中に逃げ込みやがった。穴は小さく、やっと僕が入れるくらいだ。間違いなくレリーフは詰まる。


「まあ、試してみるか」


 レリーフしゃがんでほぼ膝を抱くような形でなんとか洞窟に入る事は出来そうだ。中は少しは広いかもしれないけど。天井低くかったら座ったまま進んだり戦ったりせざるを得ないだろう。


「ぷぷぷぷっ」


 つい噴き出してしまう。しゃがんで戦うレリーフ。考えるだけで愉快だ。コイツの筋肉至上主義が全く役に立たないな。


「ラパン。何笑ってる?」


「すまん、すまん。今回だけはお前の筋肉は無駄無駄だな」


「おいっ! 今、なんて言った?」


「ここじゃ、お前の筋肉は全く役に立たないんじゃないかなー。ほらほら、もう帰っていいよ」


「…………」

  

 レリーフは黙り込む。今日は勝ったな。

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