犯罪都市へ
「ご主人様、窮屈じゃないですか?」
アンが絡んで来る。もう何回目だろうか。しつこいだろ。
「しょうがねーだろ。元々は4人で行くつもりだったんだから」
今僕たちは空の上。魔法の絨毯に乗って空を進んでいる。向かうは犯罪都市ドバン。そこに潜んでいると言う、ドバンの忍者のボスの『言霊使い』と呼ばれてる奴を倒すためだ。
「いや、ですから4人でいいじゃないですか。コイツを叩き落としましょー」
アンがコイツと言ってるのはカプの事だ。
絨毯の前には僕とマイが座って、マイが操縦している。後ろにはピオンを挟んでアンとカプが座ってる。
「そうですよね。4人いれば十分ですよね」
カプがアンに同意する。
「ここで、はっきりさせておきたい事があるんですが。この中で投擲具をメイン武器にされてる方っていますか?」
「私、投げものは好きだ」
カプにピオンが答える。忍者スタイルだから今はプリンさんじゃなくてピオンだ。声のトーンが低く、いつも通りぶっきらぼう言語を使ってる。
「残念な事にピオンさんは水竜王の加護を受けてますね。古竜の加護を受けられるのは1人につき一つまでです。おやおややっぱり誰も飛び道具をメインに使って無いんですね」
「おい、何をいいたいんだ? ザコリュウ!」
アンが割り込んで来る。
「え、まだ、分かんないんですか? アイローンボー。お前の投擲必中の加護なんで誰も必要ねーんだよ」
カプの語調が荒くなる。
「それに比べて私の加護、竜魔法『カプルソー』は使い道勝手いいですよ。なんと発動してる間は物理完全反撃ですからねー。ほらほら、欲しくなったでしょ私の加護」
「んー、あたしはいいかな。動きにくくなりそうだし」
マイも欲しくないらしい。
「俺もいいよ。なんか加護とか貰ったら、お前らにマウント取られそうでやだな」
カプの加護とか貰った日には、コイツの態度がデカくなるのは目に見えている。よりウザくなりそうだ。
「えー、誰も要らないんですか? 古竜、古竜の加護ですよ。伝説の竜魔法ですよ?」
「だってお前、近接戦だけだろ。ホラホラ落ちろ役たたず」
「何言ってる。アイローンボー。お前の方が役たたずだろ。さっさと降りろ」
あーあ、また、後ろで暴れ始めた。
「はい、そこまで。ご飯抜きにするわよ」
「「ごめんなさい」」
んー、僕が言っても止めないのに、マイなら一撃だな。
「それで、ピオン、ドバンには美味し食べ物あるのか?」
アンが尋ねる。
「んー、有名なのは、非合法ステーキとか、脱法ハンバーグとか、あと天国ジュースとか聞いた事がある。飲み食いしたら良い気分になれるらしい」
んー、それって変なクスリとか入ってるんじゃないか?
「楽しみですねー」
まあ、ドラゴンだから大丈夫だろう。僕らって戦いに行くんだよな。なんて平和な会話だろうか?
僕らは会話に花を咲かせないながら、犯罪都市に向かって飛んでいく。
犯罪都市の悪夢(前編) 終了
to be continued
犯罪都市の悪夢(後編) 乞うご期待!
シリアス(?)なロングシナリオに疲れたので、しばらくはっちゃけたショートストーリーを書こうと思います。舞台は、第四部の後の予定です。
読んでいただきありがとうございます。
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