ダブルドラゴン
あんまりにも遅いので、転移陣でアンとカプの所に戻る。
「…………」
目の前でドラゴン二匹が抱き合っている。もしかして、変なものに目覚めたのか? いや、よく見るとお互いに首筋を噛み付き合っている。二匹とも鱗が剥げたりして全身ボロボロだ。とくにカプが酷い。
「何やってんだ?」
僕の問いかけに二匹とも目を動かしただけ。噛み付くのを止める気配も無い。
「おいおい、もう痛み分けって事でいいじゃないか。離れろよ」
どっちも動かない。離す気ナッシングだな。犬の喧嘩かよ。水でもかけてみるか?
ゴン! ゴン!
収納からハンマーを出して跳び上がり、二匹をドつく。馬鹿共が。二匹は頭を押さえて離れる。死んじゃいないよな。ドラゴンはすぐ死ぬからな。エリクサーをかけて後ろを向く。
「人に戻って服を着ろ」
アイツらドラゴンは基本裸族だからな。年頃の女の子の裸見たら幾ら僕でもドキマギするっつーの。
「服着たかー?」
ん、リアクションねーな?
「もう大丈夫かー?」
「うーっ。うーっ」
「ぐぅーっ。ぐうーっ」
なんか二人ともフゴフゴ言ってるな。何してやがるんだ?
「…………」
振り返り、絶句する。
裸で抱き合っている。角が生えた美少女二人。お互いに相手の肩に噛みついて、血が流れてる。この絵ヤバい!
ゴンッ! ゴンッ!
とりあえずゲンコツくれてやって後ろを向く。
「早く服を着ろ。次は無いからな! 飯抜きだぞ」
「はいっ! すみませんでしたっ!」
「ご飯抜きはカンベンです」
こりゃ、よろしく無いなー。アンが倍になったようなものだ。トラブル、気苦労が倍になりそうだ。いやそうなるだろう。僕はとんでもないものの封印を解いてしまったのでは……
「ちょっと、あなたたち何その髪の毛」
上に戻ると、アンとカプにそっこーマイが絡む。
「「コイツがやったんです!」」
おお、アンもカプも仲良しだな。指差して合っている。それに完全にハモったな。
「しょうが無いわねー」
マイがアン、ピオンがカプのボサボサな髪の毛を直す。母ちゃんみたいだな。
「もう、心ゆくまで喧嘩したでしょ。じゃ、はい、二人とも仲直りの握手」
マイはアンの手をカプに差し出す。
ぱしん!
その手をカプが弾く。
「私とアイローンボーは不倶戴天。ともに天をいただく事なしっ!」
カプはアンに超ガンくれてる。
ぐぅーっ。きゅるるる。
可愛らしく、カプのお腹の虫が無く。そりゃずっと何も食べて無いだろうからな。
「カプちゃん。お腹すいてるんでしょ。仲良くするならご飯どんだけでも食べていいから」
「はい。マイ様。しょうちしました」
カプはアンの手を握ってぶんぶんする。
そして、地下街でカプが望むものを何でもマイは食べさせてあげた。アンも加勢きてお店が三軒早締めになった。食い過ぎだろ……
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