情報屋
「ちょっと、そんなんあるなら早く出してくださいよー」
あ、こんなんあったなと思って冒険者の認証票を出したら、衛兵の隊長、白ひげ爺の態度があからさまに変わった。なんかこういうのをひけらかすのって好きくないからな。
「それはそうと、この中どうなってんですか、書いてある文章の内容が内容なんで、上の判断待ちなんですよ」
「良かったな。入らなくて」
この人たちが入ったら立派なスライムハンターになれた事だろう。
一番弁が立つマイに、この中であった事を話す。学者さんみたいな人たちがメモってる。
「では、入ったら戻って来られないんですね。上の判断待ちですねー」
しばらく隊長と話して、何かあったら、冒険者ギルドに僕らへの指名依頼を出してもらうと言う事で話がついた。ここばずっと国が封鎖するそうだ。認証票の七光りで僕らは拘束される事も無く、帰路につく事が出来た。自然っぽい洞窟を抜け、穴にかけてある梯子を登って地下街に戻る。穴にはバリケードが張ってあって衛兵が居たが、隊長の名前を出すとすんなり通してくれた。
バリケードの外は相変わらずの人混み。地下街大人気だな。旅装っぽい者が多いから観光客だと思われる。まあ、僕らも旅人のようなもんだ。僕らは人混みに辟易しながら、ナナフシと落ち合う予定だった店に向かう。ピオンがナナフシの事を気にしてたからだ。何日も経ってるから居るとは思えないが。
「こっちこっちです」
店のテーブルからナナフシが手招きする。
「おい、なんで居るんだ?」
テーブルにつきながら問う。テーブルについたとたん、飲み物とドカドカ料理が運ばれてくる。出来たてだ。
「なんでって、仕事だからに決まってるじゃないですか」
んー、会話が噛み合わないな。
「いや、だから、さっきここに戻って来たばかりなのに、なんでお前がここで待ち受けてるんだ?」
「そりゃ、網張ってたに決まってるじばないですか。ここに近づいたら私に連絡するように、情報屋仲間に伝言してたんですよ。大金貨五枚。真面目に働くに決まってるじゃないですか。それより何処に行ってたんですか? どんなに探しても足取りが少しも掴めなかったんですよ」
「まあ、そりゃそうや。うちらここに居てたんやから」
ピオンは、途中でプリンさんに変身してる。もしかして、プリンさんのキャラ気に入ってるんじゃないか? プリンさんが立て板に水トークでナナフシにこれまでの経緯を説明する。マイより話すの上手なんじゃないか? 今後は交渉の時にはプリンさんになって貰おう。




