外へ
とりあえず、始まりの町にある銭湯で汗を流して、そんなに遠くは無いから、メダリオンに戻る事にする。町を出て通路を通ってここに来た地獄の門に向かう。前は戻れなかったけど、あっさり通れ竜王宮もどきに入る。
「おおっ」
つい、驚いて声が出る。通路から出るとこっちからは見えなかったのに人が結構いる。金属ヨロイの衛兵、学者っぽい人。ここを調べてたのか? 即座に衛兵たちが構える。
「お前たち、ここから出て来たのか?」
一番年食ってもそうな白ひげの衛兵が口を開く。なんで衛兵って基本的に横着なんだろうか? こっちは犯罪者じゃないっつーの。
「ああ、そうだが。武器をしまえ。敵意は無い」
「それは出来ん。敵意は無いとはいえども、ここは国によって封鎖されている。お前らには国の敷地内でいかがわしい事をしてた嫌疑がある。壁に手をついて足を開け。私が直々に危険なものを持ってないか調べてやる」
そう言うと爺さん衛兵は右手の手甲を外す。ん、ボディーチェックする気か? 別に手甲はめても触れば分かるだろ。口ぶりと言いマイたちにセクハラする気まんまんだな。女性は一人も居ないし。けど衛兵とは事を構えたく無いな。犯罪者は勘弁だ。
「早くしろ。叛意有りと見て、貴様ら全員拘束するぞ」
「ちょっと待ってよ!」
爺さんにマイが言い返す。
「なによ、いかがわしい事って」
「男が1人に女が3人、謎の門から出て来たら、そういう事してたとしか思えんだろ。度胸試しか露出趣味なのか知らんが、国有地で事に及ぶ輩が多いのだ。それに、そういう奴はたいてい危険物を所持している」
「だからってボディーチェック? せめて、女性は誰か居ないの? なんであんたなんかに触られるないといけないのよ」
マイの猫耳がピンと立つ。怒ってるな。当然僕もそれは抵抗する。まあ、メダリオンを出て二度と来なければ良いだけだ。ピオンもアンも僕の横に出てくる。みんな同じ考えだ。殺さない程度に暴れてやるか。
「何を言ってる。なんでお前を触らにゃならんのだ」
「えっ?」
マイが上ずった素っ頓狂な声を出す。
「お前ら女はぴったりとした服だから見りゃわかる。チェックするのはそこの男だけだ」
「えっ?」
僕の口から声が漏れる。なんだこいつ、僕が目当てなのか? 背筋にぞぞーっと寒気が走る。
「ザップ、早くしろ。時間がもったいない」
「ご主人様、早く壁に手をついてください」
うお、即座にピオンもアンも手のひら返しやがった。
「ザップ、お願い」
うう、マイまでも。そして僕は白ひげ衛兵に体をなで回された。手つきがきめーよ。間違いなくソッチの人だ……
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