赤銅竜 7
「降参って事でいいのか?」
キツネにつままれたような気持ちで、剣を収納にしまう。そして、へそ天の竜の前に散乱してる剣と槍を収納にしまう。またこれを投げて収納にしまうのさ面倒くさいな。しかも壊れて使えなさそうなのもボチボチある。こういう時タブレットが便利だ。投擲用剣、壊れた剣という風に分かれて収納にはいって数も分かるので把握しやすい。剣が52本、槍が12本も壊れている。なんか金目なもの持って帰らないと赤字だな。一応僕はプロの冒険者だ。プロとして迷宮に入るからには稼ぐのが鉄則だと思ってる。
カプは動かない。もしかして、何か言うまでこのままのつもりか?
「おい、もういいぞ。そのままじゃ話せないんだろ。人間になれ」
カプがみるみる小さくなる。あ、まずい、昔、アンが服を作る魔法はめっちゃマナを使うから一日数回しか使えないって言ってたな。
「おい、マイ、服、服を用意しろ」
「分かったわ。じゃ、ザップ、あっち向いててね」
と言うマイの手には既にアンのワンピースと誰かの下着が。気が利くって言うか、ガードが固いって言うか。なんか少し残念だけど後ろを向く。まあ、カプは見た目的にアウトだから興味は無い。
「ザップ様ーっ」
カプが呼びかけてくる。気持ち悪い奴だな。負けたとたん様付けかよ。アンみたいな奴だな。
「もうこっち向いていいわよ」
マイの声に振り返る。マイとアンに挟まれて肩を借りてカプが緑のワンピースを着ている。
「どうしたんだお前?」
「もう、エネルギー切れです。私はあくまでも分体。本体はまだ封印されてるので」
カプはぐたーっとしている。
「じゃ、さっさと、例の契約を解除して貰おうか?」
「あ、もう終わってますよ。いつでも出て行ってもらって結構ですよ。けど、契約解除したので、もう復活は出来ないですよ」
復活? まあ、力を取り戻した今、こんなスライムしか出ないとこで、危険に陥る事は無いと思うが。
「あと、望みは何ですか?」
望み?
「怪訝そうな顔しないでくださいよ。私も面倒くさいんですけど、何か望みを叶えるって言っちゃいましたからね」
あ、そういえば何か言ってたな。
「んー、考えとくよ。契約が切れたって言ってたが、またここに俺たちは来られるのか?」
「はい、不本意ですけど、出入り自由です。厚かましいと思いますけど、あと、しばらくここでゆっくりして言って貰えないでしょうか?」
「何で?」
「そりゃ、あなた方の力を吸ってたら、あと少しで、本体が復活出来るからですよ。出来ればあと10年程、ここに居て貰えないでしょうか?」
「そんなに居てたまるか!」
アンがカプをドついてる。仲良くしろよ仲間なんだから。
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