赤銅竜 6
カプの体から炎が吹き出したかのように赤いもやみたいなものが膨れ上がり巨大な竜が現れる。その体全身に刺があり、金属のような光沢の赤色に染まっている。昔見た事がある水晶の原石みたいだ。岩から何本もの水晶の柱が生えた。
「グルゥオオオオーーーーッ!」
竜は僕を見て吼える。これはただ吼えてるだけだ。威圧の効果は無い。多分『かかってこいやー』って感じの叫びだろう。
どうするか? 殴ったら反撃されるんだよな。なんか可哀想だけどしょうが無いか。さっきの少女形態を見た後なだけにすこし気が引ける。けど、しょうが無いか。
「剣の王」
僕は右手を上げる。僕の回りに黄金色の小さな魔法陣、収納のポータルが幾つも浮かぶ。目標は赤ドラゴン。右手を下げると、ポータルから無数の剣が飛び出す。これは思いっきり投げた剣を収納に入れたものだ。いつも僕は千本の飛剣を収納に入れている。
ガガガガガガガガガガガガガガッ!
剣が竜に当たり竜の刺が弾けている。刺は弾けるとすぐに次のやつが生えて来ている。そして、竜の足下に千本の剣の山が出来ても、さっきと竜の見た目は全く変わらない。けど、なんかゼハゼハと肩で息をしてるようだな。
じゃ次。
「槍王」
次はポータルから無数の槍が飛び出す。これも千本ある。これまで使うと仕込みが大変だ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!
竜に槍がドカドカ当たり、また刺が弾けている。ん、根性ねーな。なんかもう刺が生えてこなくなって槍が刺さってるとこもある。槍を飛ばすのを止める。竜の体の僕に向いてるとこはほとんど赤い刺がなく、のっぺりとした赤い皮膚が見えている。なんか濡れた犬を見てるみたいで可哀想だ。刺で盛られてたけど、貧相な体してやがるな。ムキムキだった神竜王とは大違いだ。
そして、収納から対ドラゴン用の武器を出して正眼に構える。
絶剣山殺し。刀身が30メートルはある化け物大剣だ。こういうかなり広いとこじゃないと出す事も出来ない。力を封じられたままだと持ち上げる事も出来なかったと思うが、今なら思いっきりぶん回せるな。
「おい、一度だけチャンスをやる。降伏するなら腹を上に寝っ転がれ」
まあ、コイツもドラゴン。そうそう降伏なんかしないだろう。多分刺が剥げたとこを隠しながら戦うだろう。まあ、けど、山殺しなら距離を取りながら攻撃したら反撃は食らわないだろう。もう多分あいつには刺を再生する力はない。刺を全部壊したらさすがに降伏するだろう。
ズデン!
カプが大きく倒れる。
え???
目の前でドラゴンが腹を上に寝っ転がっている……
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