赤銅竜 4
「闇から放たれた、私の力をみせてやるーー! キャハハハハハッ」
腰に手をあてて哄笑を上げるカプ。なんで、古竜って、すぐに暴れたがるんだろうか? やっぱずっと封印されてたらストレスハンパないんだろう。だからストレス解消に暴れたり、暴食に走るんだろう。
じゃ、やはりこう言うべきだよな。
「そうか、でもそれは阻止させてもらう。お前が暴れたらここの街にかなりの被害が出るだろう。罪の無い人々を守るため、お前はここで食い止める」
右の拳を握りしめ上げる。決まったな。どっかの英雄みたいだ。これで少しはみんな僕の事を見直してくれるだろう。最近あんまり僕自身ぱっとしないもんな。
「罪の無い人々、なんだそれ。なんで被害が出るんだ?」
ん、またカプが訳が分からない事を言う。
「お前、ここから出たら、ここら一帯を更地にすんだろう?」
「ああ、そうだ。腹が減って仕方ないから、ここら一体の麦畑や野菜畑の作物を根こそぎ食って更地にしてやる。ちゃんとその分の金は払うぞ。ここ数百年でかなりため込んだからな」
えっ、まじか。暴れるんじゃないのか? コイツも食いしん坊キャラなのか? 格好つけた僕が馬鹿みたいじゃないか。
「ちょっとまて、麦畑? お前、ここから出たら街だぞ。メダリオンって言うでっかい街だぞ」
「ええーっ、嘘、嘘でしょ。私が知ってる限りここらは穀倉地帯だったはず」
しょうが無いので、収納から黒板を出してピオンにここらの地図を書いて貰う。
「まじか、私が地下に居る間に地形がかなり変わったのか。それなら、ここから出たら、その街の美味いものを食べ尽くしてやる!」
コイツも食いしん坊ドラゴンか。しょうが無いな。
「ほら、これ食え」
僕は収納から担々麺を出す。湯気に混じる辛そうな匂いが食欲をそそる。うん、いつも最高、美味そうだ。
「なんだ、これ。美味そうだな」
箸を出してやると上手に使ってカプは担々麺を啜り始める。その顔がパアッと華やいだと思ったらそ汁ごと麺をずずーっと飲み干し始める。食べ方が昔のアンに酷似している。麺は飲み物じゃない。けど、可愛い女の子がガツガツ飯食べるのは見てて嫌じゃないな。
「おかわり!」
しょうが無いからまた収納から出してやる。多分貧しい食生活だったんだろう。生麦食べるって言ってたくらいだし。めっちゃ美味しいって連呼しながら、奴は最終的に五杯も食べやがった。けど、アンに比べたら可愛らしい食い意地だな。あいつは出せばだしたいだけ食べる。けど、カプってなんか三下臭がするな。
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