赤銅竜 2
「わかったわかった。カプリソーだな。そう言えば、カプリチョーザって言葉あったよな?」
んん、カプリチョーザってなんて意味だったかな? 思い出せないな。誰かが肩を叩く。マイだ。
「ザップ、カプリチョーザは西方語で、気まぐれとかそういう意味よ。だから西方風のレストランでは、シェフのおすすめ料理とかにカプリチョーザって名前がついてるわ」
「そっか、やっぱ食いもんだったかドラゴンだしな。料理に関しては、マイは知らない事無いんじゃないか?」
なんか僕の中では、アンのおかげでドラゴン=食べ物ってイメージがある。焼いて食べても美味いし。まあ、人語を介する者を食べたりしないが。
「まだまだよ。もっと美味しいもの作れるように勉強しないとね」
今ですらメシウマなのに、更にレベルアップを目指すとは。マイ、最高!
「ああ、楽しみにしてるよ」
「ちょっと待てよお前ら!」
カプリチョーザがなんか言ってる。赤いウェービーなおかっぱ頭で、アンより少し幼く見える。アンは十代半ばくらいに見えるから、十代前半くらいに見える。
「私の名前はカプルソー! カプルソーだ! 我らにとって名前は畏怖の対象、間違って覚えられたら名前の威力が減るから困る! おい、アイローンボー! 説明してないのか?」
蚊帳の外と思ってたのか、アンがハッとする。
「えっ、名前? そうなんですねー」
「そうなんですねーじゃないだろ。お前だって名前間違われたら困るだろ。古竜力が弱まるだろ」
「えっ、そうなんですか? 私、アイとかアンとか呼ばれてるけど全く気にしませんよ?」
「だからお前はザコなんだよ。とっとと消えろザコリュウ」
新たにアンのあだ名が増えたな。ドラドラゴンよりいいやすそうだ。ザコと古竜を合わせてザコリュウか。いいなそれ。
「おい、カプ。お前もザコリュウだろ。私の能力は投擲必中、お前なんてただの絶対反撃だろ。私の力の前には無力!」
そうか、古竜カプルソーの権能は『絶対反撃』なのか。しかも話から弱点は飛び道具なのか。そりゃアンとは相性悪いわ。けど、その前に前々からの疑問をここでも。
「話の腰を折るようで悪いが、一つ聞きたい事がある。なんで古竜って美少女に変身する奴が多いんだ? お前ら、めっちゃ年食ってるから、実際はババァだろ。ババァになれよ。戦い辛い」
「ご主人様、今、私の事美少女っていいましたよね。聞きましたよ!」
あ、失言。マイのジト目が痛い。
「黙れザコリュウ!」
「あ、ご主人様まで。ザコリュウはアイツです」
アンはビシッとカプルソーを指差す。言いにくい事この上ないからカプと呼ぼう。
「おいおい、お前鬼畜なのか? 少女とは戦えないけど、老婆とは戦えるとか……」
カプが変なとこに食いついてきてる。言葉のあやだ。
「聞きたいのはそこじゃない。なんで少女なんだ?」
なんか会話がカオスってる。古竜って本当疲れる生き物だな。
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