限定迷宮 26
「これで終わりっ!」
最後のスライムをピオンのダガーが切り裂く。
『ピオンがレベル4になりました。竜魔法【シルメイス】を覚えました』
「よしっ!」
ピオンがガッツリポーズをとる。感情の起伏に乏しいピオンにしては珍しい。本当に嬉ししかったんだろう。
スライムを刈りまくり、僕のレベルは5、マイ、アン、ピオンは4に上がった。手に入れたスキルは僕は剛力だけ。マイは剛力と鑑定、アンは空腹耐性と火の息、ピオンはハイドインシャドーと今覚えた竜魔法シルメイス。
『竜魔法シルメイス』
昔、水竜王シルメイスからピオンが貰った水を操る魔法だ。
今までを見るからに、レベル2になった時には確実にスキルを覚え、後はランダムみたいだ。ちなみに、今まで僕らが覚えたスキルは全部元々覚えていたものだ。レベルアップしたら、解放されてくのだろうか。早く収納スキルを覚えたいものだ。僕たちは地面に座り込みしばらく息を整えてドロップ品を集め始める。ずだ袋が三つ、ライトヒーリングポーションが五つ、片手鍋と新しい武器でショートソード。アンにそれを渡して棍棒を貰う。やっぱ打撃武器がいい。ぶん殴るだけでいいからな。ポーションはみんなそこそこ怪我してたから、1人一つづつ飲む。魔物が居ない大部屋を探索すると、端に洗面台くらいの大きさの水場と、下に下りる階段を見つけた。今回は壁にコケが生えてない。食料は鍋でスライム汁を煮るしか無いな。そして、みんなでずだ袋をスライム汁で満たしていく。そして、休憩する。
僕の隣にマイが座って話しかけてくる。
「やっぱ、ザップは凄いわ。あたしはもうダメだから死んでもう一回って思ったわよ」
「そうだな。俺も一瞬そう思ったよ。けど、死ぬ事を考えるのはダメだ。ここは特殊だからまた戻れるけど、そんな事は人生では普通無い。ピンチはチャンスとか言うだろ。現に今回はしんどかったけど、かなりレベルが上がったからな」
アンも隣に寄ってくる。
「そうですよね。次の階はジャイアントバットだって聞いてますけど、これなら楽勝でしょう。ジャイアントバットって食べられるんですよね。早く下にいきましょう」
「まて、まて、こんなチャンスは無い。まだ下には行かずにギリギリまで粘るぞ。それに試したい事もあるからな。おい、ピオン」
「んー、なんですか?」
気怠そうにピオンがこっちを向く。そして、僕はみんなに次の作戦を伝える。まずは、ギリギリまでスライムを狩り続ける。ここは開けてるから、ヤバくなっても逃げられるし、階段近くで戦うようにしたら問題無いだろう。




