限定迷宮 25
「マーイ!」
僕は叫びながら駆け出す。木の槍を手の中でスライドさせて、穂先の方を手にする。僕に生えたのは剛力。多分、武器など要らない。槍はマイが使うべきだ。近づいて来たスライムを一匹蹴飛ばす。いい、吹っ飛んだスライムに間違い無くダメージが通っている。剛力様々だ。手を伸ばしマイに槍を差し出す。マイも手を伸ばす。いかん、マイの気が散ったか? マイは足にスライムのタックルを食らう。クソがっ! 邪魔なんだよ。たたらを踏んで踏ん張ったマイが槍を手にする。僕はマイにぶちかましたスライムを蹴る。さっきまでは振り抜けなかった蹴りがスライムをぶっ飛ばす。
「マイ、反撃の時間だ!」
「はいっ!」
さっき蹴ったスライムが飛んでくるのをかわし着地を踏みつける。潰れて床に広がる。よし、やれた! マイは木の槍でスライムをチクチク攻撃する。この前の剣と違いやっぱ弱いな。けど、マイが攻撃してたスライムは崩れ落ちる。5発、6発くらいか。けどやれる。スライムが集まってくる。近づいて来た奴を蹴り飛ばすが、倒すより集まってくる奴の方が多い。
「ピオン! アン! 集まれ」
「わかった」
「はいー」
僕たちは集まってアンを中心に背を向けて戦う。
「ご主人様、落ちました。落ちました」
アンがキャッキャ言ってる。
「何がだよ!」
「棒です。ぶっとい棒です」
棒? ぶっとい棒?
ブシュッ!
僕に近づいたスライムにアンが何かで殴りかかる。棍棒だ! 棍棒を手に入れてこんなに嬉しかった事があっただろうか? アンの語彙が死んだ理由も分かる。
『マイがレベル2になりました。剛力のスキルを手に入れました』
マイを見ると一匹のスライムをブッ刺している。マイも剛力! 勝ったな。僕がスライムにこざこざダメージを与えて、アンが棍棒でとどめを刺す。それを繰り返す。背中を気にしなくていいだけでかなり戦い易い。
『アンがレベル2になりました。空腹耐性のスキルを手に入れました』
「よしっ。これでアンも安泰だ。て言うかこんな時くらい食いもんの事考えるなよ!」
「しょうが無いじゃないですか。アイツら水羊羹にしか見えないです。けど、少し腹ぺこがマシになりました。それより、『アンも安泰』って面白くないですー」
「事故だ事故! じゃ、始めるか。気合いいれてくぞ! 油断するなよ」
「おっけー」
「りょうかい」
「はいはーい」
マイ、ピオン、アンが返事する。そして、僕らは狩られる側から狩る側に変わった。マイとピオンはソロで、僕とアンはツーマンセルでスライムを撃破していく。
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