限定迷宮 17
「んー、暇ねー」
マイが背伸びをする。
「まじ、やる事ねーな」
僕とマイは噴水の縁に座ってのんびりしている。傍らには並々とスライム汁が入ったずだ袋が4つ。僕たちの努力の結晶だ。スライムからドロップしたのはこの他にライトヒーリングポーションとダガー。僕、マイとレベルアップして、ダガーが手に入って戦力がアップしたので、アンが小剣、ピオンがダガーを手に2人で今はスライム狩りしている。僕らは留守番だ。
「よく、考えたら、誰かが迷宮に残って、アイテムを保管しとけば、持ち出せなくても無くならないんじゃないかしら」
確かにそれは考えた。話によると奥では迷宮は1つになるそうだから、そこに誰かが残ってアイテムをキープしたら、持ち込み出来ないっていうクソ仕様の裏をかけるんじゃないだろうか?
「けど、ここを作ったのは古竜だし、ずっとここに居る奴もいるんだろ。なんか対策されてそうだよな」
「そうよね。あたしが思いつくって事は、今まで試した人居るだろうしね」
まあ、そうだな、僕が迷宮主だったら、同じフロアには一定時間しか居られないリミットをつけるな。例えば時間が経ったら迷宮が崩れるとか、不当に強い魔物が発生するとかだな。
コツン。コツン。
なんか遠くから音がする。ん、一定間隔の音。なにかが歩いてるのか? 鉄の靴をはいた騎士の足音にも聞こえる。
ダダダダダッ。
前からピオンとアンが走ってくる。音が出るのを気にしてない。こりゃピオン焦ってるな。何があったんだ?
「ザップ。ゴーレム。ゴーレムだ!」
えっ、ここスライムしか出ないんじゃないのか?
「めっちゃデカい岩で出来た奴です。いきなり地中から出て来やがりました。はぁ、はぁ」
アンが目の前で止まり肩で息をつく。
「強いのか? どれくらい距離があるんだ?」
「この先の分かれ道くらいに居る」
ピオンが答える。その顔が引き攣ってる。
「まじか」
という事は、倒すかやり過ごさないと行けないって事か。
「多分、時間制限ね」
僕もマイと同じ考えだ。
「ザップ、どうする? やり過ごして下に行く? それとも一端、町に戻る?」
「そうだな。大した事無いと思ってたからあんまり調べてなかったけど、この迷宮は悪質だな。一端戻ろう。で、しっかりしっかり調べてまた挑戦しよう」
ゴツン! ゴツン!
足音っぽいものが大きくなってくる。道の先に見える。動く岩の塊。手足が短くずんぐりむっくりなシルエット。で、でかい! 通路をなんとか通れる程の大きさ。ストーンゴーレム。今スライムに苦戦する程度の強さしかない僕らには荷が重すぎる。荷物持ちなのに。あ、今は村人か……




