限定迷宮 11
「遅いなー」
「遅いですねー」
僕とアンは女神像の前で地べたにボーッと座っている。お金も無いし、やること無いので座ってマイ達を待ってるんだけど、もう話す事も尽きた。それに食べ物の話ばっかしてたら余計腹が減る。さっきからチラホラ人はいるけど、こっちの迷宮の方に来る人は居ない。まあ、そりゃそうだな。なんだかんだで、冒険者は朝出発して夕方まで働くものだからな。
待てども待てどもマイとピオンは帰って来ない。僕たち同様にすぐに死んでここに送られて来ると思ったのに。もう、数時間経ってるんじゃないか? なぜなら、僕らのパーティーでは、自慢じゃないけど僕が最強。そして次に強いのはアンだ。反則のドラゴンだからな。その僕らがあっさりやられたから2人も頑張ってもすぐにやられる事だろう。
「お腹減ってきましたねー」
「そうだな」
なんだかんだで、今日はたこ焼きとタコボールしか食べてないしな。めっちゃタコ好きな人みたいだな。んー、なんか少し眠くなってきたけど、腹が空いて眠れない。
「ここらの土って珪藻土ですかねー?」
アンの目が座ってる。そんなに腹減ったのか? ヤバい。
「おいおい、土を食うなよ。それよりもあそこに生えてる草は食えるぞ。筋ばっててかなり噛まないと飲み込めないが」
「ちょっと、ザップたち。何バカな事言ってるのよ」
眠りかぶってたから気付かなかった。迷宮への螺旋階段の入口にマイとピオンが立ってる。つまんない事に2人ともちゃんと服を着ている。僕はパン一なのに。マイは石の穂先の手作りっぽい槍を手にしている。
「おっ、マイ、ピオン。遅かったじゃねーか」
ん、下から来たし、服着てるって事は? それにピオンがなんか汚いずだ袋を担いでいる。
「あーね。どうもね。戦利品もってたら入口から戻れるみたい。また弱くはなっちゃったみたいだけど」
マイ言うには、あれからスライムから逃げまくり、なんとか石の槍を手に入れて時間をかけながらスライムをチクチク倒し、拾った袋にスライムの汁を入れて持って来たそうだ。
ピオンとアンはスライム汁の納品、僕とマイはお金をおろして服を買いに行くことにする。
迷宮で動きやすい服を買うだけなのに、例の如くマイは迷いまくり、ピオンも合流しさらに混迷を極める。ちなみにスライム汁は銅貨7枚だったそうだ。なんとか服を買って、宿をとる。ちなみにマイには僕の服を返してもらった。ぼろぼろだ。服の値段をマイ達は教えてくれなかったけど、今日は大赤字って事は分かる。食堂でスライム汁なるものを口にしたが、何とも言えない味だった。今日は寝て、明日の僕に頑張って貰おう。
文章の順番がおかしくてマイが裸で服を買ってるみたくなってたので修正しました。2025.8.29




