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 限定迷宮 8


「行くぞ」


 僕は扉に足を踏み出そうとする。


 扉の先に続いているのは天然のように見える洞窟。人が3人横並びで歩いても余裕がありそうで、高さも同じくらい有る。壁には一定期間間隔おきに壁掛け松明があり、ゆらゆらと曲がりくねった道を照らしている。


「待てザップ、先頭は私だ」


 僕の手を引き戻し、ピオンが前に出て扉をくぐる。


 ぶわさっ!


 僕の隣に布の塊が落ちる。なんだ、新手の攻撃か? ん、目の前には綺麗な背中とお尻、ブラジャーの紐と食い込んだパンツ。え、ピオンの背中? コイツこんなとこで何脱いでる? 忍者が攻撃されて、服だけ残してそれは身代わりだ! って言う、空蝉の術ってやつか?


「きゃあーーーーっ」


 ピオンが丸まって座り込む。コイツあったのか? 恥じらい。


「いきなりザップに脱がされたー!」


「脱がしてないわ!」


 横にはピオンの黒装束が落ちている。何が起こった?


「えー、もしかして持ち込めないの?」


 マイが黒装束をつまむ。ピオンが胸を隠しながら手を伸ばしてくるが、扉のとこでその手が止まる。


「そっかー。ピオンの服、防具ってみなされたのね。しかも迷宮に入るともう戻れない」


 マイはそう言うと、扉の横にピオンの黒装束を軽く畳んで置く。こういう女子力の高さいいよな。


「じゃあ、誰から行く? ピオンの下着がオッケーだったって事は、ある一定以上の防御力がある服はダメって事よね」


「私が行きますよ。私が着てるのは、問答無用に普通の服です」


 そう言ってアンが扉をくぐる。うん、そのままだ。マイは普通にシャツとパンツ。問題無いだろう。


「あ、あたしも行くわ」


 なんかマイは身構えている。


「行くわよ」


 マイが怯むのは珍しいな。なんでだ?


「行くわっ!」


 気合い入れてマイは扉をくぐる。


 ぶわっさっ!


 え、全部脱げた。尻?


「きゃあーーーーーーーーーーーーっ」


 マイは体を抱いてしゃがみ込む。つい何が起こってるのか分からず見つめてしまう。


「ザップ。向け。後ろ」


 とりあえず名残惜しいが後ろを向く。マイは鉄壁のガードだからこういうチャンスは滅多に無い。


「あ、ああ。けど、なんで、マイの服はNGなんだ?」


「魔法防御魔法、物理防御魔法」


 マイが口を開く。そうか、服に戦闘補助の魔法を付与していたのか。


「保存魔法、浄化魔法、消臭魔法、美肌魔法、髪のキューティクル魔法……」


「おい、多過ぎねーか。それに戦闘関係なくないか?」


「うう、ジブルに勧められるまま、普段着ほとんどに何らかの魔法を付与してもらったのよ……」


 つい横のマイの服を見る。この服総額幾らするんだろうか? 要は全部靴下にいたるまでマジックアイテムなんだよな。

 けど、この状況はヤバいんじゃないか? ピオンは下着、アンはワンピースと下着だけ、マイは全裸、全裸だ。そんなので迷宮探索とか出来るのか? 僕のメンタルが保たない。探索どころじゃない。


「ザップ、多分、町に服売ってるから、買って来て」


 そうか、その手があるか。


「ああ、けど、俺、無一文だぞ」


「あたしか、ピオンのお金おろせないか聞いてみて」


 それから僕は町に戻るが、預かり所では本人しかお金をおろせないそうだ。雑貨屋には服は売ってるみたいだけど、お金が無い。途方に暮れて、とりあえず迷宮の入口に戻る。

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