限定迷宮 7
「なんか、お金全くもって無いって思うと不安になるわね」
マイはそう言うけど、素寒貧のプロだった僕は何とも思わない。そこらに生えてる雑草で食べられるものも色々あるし。迷宮の入口が見えて来た。祠のようなものの真ん中に螺旋階段がある。隣には人の2倍くらいの女神像がある。頭に捻れ角が生えてる。ドラゴンの化身か?
「私もいつものヒンヤリが無いと心許ない」
ピオンが下腹部をさすさすしている。下品だから止めなさいって。て言うかいつも入れてたのか? 多分、毎晩毎晩お風呂上がりにでも金貨に油を塗ってパンツに入れる。おバカ過ぎる絵ずらだな。けど、そのおかげで金銭的に助かりそうなのも確かだな。収納の中にはめっちゃお金入ってるのに。
「何言ってるんですか。お金は確かに大事ですけど、迷宮ではなんの役にも立たないですから」
ずっと迷宮に居たドラゴンはそう言ってる。
「まあ、けど、なんとかなるだろ」
僕たちは数々の迷宮を踏破してきた。だから、この時僕はそんなに心配してなかった。数日あればここの迷宮も攻略出来るだろうと。
螺旋階段をしばらく降りる。だいたい地下1階くらいの深さだろうか? 通路に着き、進むと真っ黒な扉が見えてきた。
『これから先に進む者、一切の希望を捨てよ』
門の隣にはプレートがあり、それにまた文字が打ち込まれている。クドい2回目だぞ。
黒い金属で出来た扉はぎっしりと人物とかの彫刻で飾られていて、扉の上にも彫刻がある。なんか人がはみ出したりしてておどろおどろしい。うん、地獄だ。その人物の彫刻のうち扉の上の一番目立つとこに有るのには見覚えがあった。
「あ、考える人だ」
考える人、座った人が顎の下に手を当ててる像だ。有名なやつだ。
「そう、考える人よ」
マイがリアクションしてくれる。ピオンは扉に罠が無いか調べるのに夢中だし、アンは全く無関心だ。石だったらドラゴン時の歯磨きに使えるのにとか思ってるんだろう。
「その考える人って元々地獄の門って言う彫刻の一部なのよ。考えてるんじゃなく地獄に墜ちた人々を見つめてるって話もあるわ」
像をまじまじと見る。僕的には見てると言うよりも考えてるように思える。けど、地獄の門の上で何を考えてるんだろうか?
「罠は無さそうね。けど、ここに来た門と一緒で、この奥は壁よ」
「じゃ開けてみるぞ」
奥は壁だから引いた方がいいのかと思ったけど、触れると扉は簡単に奥に開いた。地獄の門は魔道都市とかで流行ってる自動ドアなんだな。
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