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 限定迷宮 3


「ねぇねぇ、これってもしかしてヤバいんじゃないの」


 マイが袖クイしてくる。


「そうだな。今の俺達は一般人、お金も無いし食いもんも無い。女の子3人に男1人。しかも多飯くらいを抱えている」


 これで、ゴロツキとかに絡まれたら最悪だ。今の僕では3人を守り切る自信がない。


「えっ、私の事ですか? 大丈夫ですよ。そんなにお腹減ってないですし、私は最悪、土だろうが服だろうが何でも口に入れられれば大丈夫ですよ」


「土はともかく服は食うな。ていうか、お前、服着てるのか?」


 いつもアンは裸の上に魔法の服しか着てない。見えるけど存在しないやつだ。何度も何度も僕もマイも諌めたけど、言う事聞きやしない。まあ、ドラゴンだから仕方無いって諦めてたんだけど。


「そりゃ、服くらい着ますよ。私がどれだけ人間の中で生活してると思うのですか?」


「で、本当のとこは?」


「食べ歩きで服着てないと、素肌にソースとかがついたら気持ち悪いじゃないですか」


「うん、そりゃ気持ち悪いわ」


 昔、腰巻き生活だった時、焼いた肉の汁とかが体にかかったら火傷して痛いし、ヌルヌルするし最悪だった。服の有り難みを感じたものだ。


「あーっ。本当、アンちゃん服着てる。しかも下着も付けてる。偉いわー」


 マイはアンの服をまさぐって頭撫で撫でしてる。


「下着着てるくらいで、そんなに偉いか? 俺も下着着てるぞ」


「んっ、ザップも撫でてほしいのか? ドン引きだな。お前が下着つけて無かったらもっとドン引きだ」


 ピオンがボソリと呟く。何言ってやがる。撫で撫でされたいんじゃない。したいんだ。


「そうか、撫でられたいんじゃなくて、撫でたいんだな」


「読むな心を!」


「読んだんじゃない。分かりやすすぎる。お前の視線はマイの頭だった。けど、考えてみろ。お前がマイに『マイちゃん服着てる。しかも下着もつけてる。偉いわー』なんて言って頭撫でたらただの変態だぞ」


「黙れ。ムッツリ」


「そっちこそ黙れ、変態」


「まあまあ、2人とも喧嘩しないで。で、ザップ、考えはあるんでしょ」


「そうだな。絶対この通路の先になんかあるはずだ。この状態から迷宮攻略しろは無理ゲー過ぎだろ」


「そうだな。スキル、能力を制限されたって事は、その対価になるものがあるはず」


 そう言って、ピオンは先頭切って道を進む。


「お前、索敵のスキル働いてるのか?」


「スキルじゃない。今までの経験だ。力やスキルが無くなっても今まで培って来たものが無くなってる訳じゃない」


 そうだな。そうだよな。力任せで生きて来た僕とアン以外は技術があるもんな。んー、僕にはなんの技術があるかな?


 

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