限定迷宮 2
「おい、アン、思いっきり俺を殴ってみろ」
「望むところです。くたばれ! ザップー!」
アンの鋭いボディーブローが僕の腹に刺さる。僕はお腹を固くする。そして、身を落とす。アブねー。アンは小っちゃいから身を落としたボディーブローは何もしなかったら、僕の股間にまっしぐらなとこだった! 狙いやがったな! 体重の乗ったアンのパンチはポスンと僕の腹に弾かれる。なんだぁ? 子供に殴られたみたいだぞ、とは言っても子供に殴られるような悲しい人生は送ってないけど。
「私のドラゴンマグナムパンチが全く効きませんね」
ドラゴンマグナムパンチって、僕のマグナムを狙うパンチの事なのか? マイがいるからつっこみゃせんけど。それにしてもだっせーネーミングだな。
ボコン!
僕は壁を殴ってみる。うん、普通だ。全力なのに普通だ。素人のパンチだ。自慢じゃないけど、ドラゴンですら一撃でぶっ飛ばせるスーパーザップパンチじゃ無い。
けど、これで分かった事がある。僕たちは間違いなく弱体化されている。しかも激しく。あ、そういえば!
「マイ、出ない。出ないぞ。出なくなった!」
「なによ、何が出ないの?」
「ザップが出ない? 出せなくなったのか?」
ピオンが絡むけど、そう言う気分じゃない。
「黙れ! ムッツリ忍者!」
「ムッツリ、それはザップにだけは言われたくない」
ピオンが噛みついてくる。お前が先に仕掛けたんだろ。
「ちょっと、ザップもピオンも遊んでないで。それでどうしたの?」
「収納から何も出て来ない。使えないんだよ。ほら、タブレットも出せないだろ」
「えっ、嘘嘘っ」
僕らはなんとかして収納から物を出そうとするが、ウンともスンとも言わない。こりゃまずい。僕らは収納に完全に依存している。




