表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1824/2118

 竜王宮 2


「それで、その無くなったはずの竜王宮にここはそっくりなのか?」


 僕はアンに問いかける。


「はい。細かいとこまで全て一緒です。けど、本物はノルンの丘って所にあったんですけどね」


 アンは壁の柱を撫でている。


「で、なんでそれがここにあるんだ?」


「多分、昔を偲んでるんでしょうね。私もなんかここに居るだけで、安心します。みんなで仲良く楽しく暮らせていた日々を思い出せますね」


 なんかアンじゃないみたいだ。いつも食べ物の事しか話さないのに。


「けど、あの頃は、激しくメシマズでしたね。生肉や生野菜や生魚しか食べてなかったです。みんなものぐさですから、腹に入ったら一緒という事で調理してなかったですね。そもそもドラゴンの手って料理出来るように出来てないですし、私たちが食べる量ってハンパ無いじゃないですか、超大量調理になりますからね。たまには焼いてましたけど、焼くと疲れるですからね」


 やっぱアンだ。いつになくめっちゃ早口だ。んー、生肉、生野菜はまだマシだとして、生魚はちょっとなー。新鮮ならまだいいけど、ちょっと時間経った魚の生は嫌だな。ドラゴンに生まれなくて良かった。


「そろそろ、奥に進もうか。魔物の気配も罠もなさそうだ」


 ピオンに促され僕らは建物の奥に行く。部屋の中央には岩で出来た円卓があり、それを囲むように石の椅子がある。あ。これも床から生えてる。岩をくり抜いたんだな。けど、動かせない椅子って不便だよな。

 奥には1枚の両開きの扉があり、その横には文字が描いてある金属のプレートがうち込まれている。そのプレートの前には僕らの腰くらいの高さの四角柱がある。上は軽く斜めになっていて、手のひらをのっけたら少し余るくらいの大きさだ。これも床から生えている。


「ここではよく会議してたんですけど、こんな扉は無かったです」


 アンは扉に近づきプレートを見る。金属で僕らのタブレットの倍くらいの大きさで、やたらギラギラしている。2枚上下に並んでいる。


「上は古代文字、下は現代の文字ですね。古代文字は忘れかけてて少ししか読めないですけど、どうやら上も下も同じ事描いてあるみたいですね」


「じゃ、あたしが朗読しようか? これから先に進む者……」


「まて、マイ」


 マイをピオンが止める。


「魔法罠には、声がキーワードになってるものとかもある。それに、古代文字を訳してるって事は、それを共通語に変えたものを読むだけで、古代魔法が不完全に発動する事もあるらしい。みんな声を出さずに読め」


 なんだそりゃ。そんな事もあるのか。さすがピオン、罠系のスペシャリストだ。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 下から集英社のオフィシャルサイトに移動できます。よろしくお願いします。
最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ