マッシュの手 4
申し訳ございません。まだまだ続きます。
「そうそう、それよか、それなんなの?」
ジブルがまじまじと『マッシュの手』を見る。
「それはこっちのセリフだ。これ、なんなんだ?」
また、ジブルが幼女らしからぬしかめっ面をする。シワになるから止めなさいよ。
「ちょっとちょっと、ザップ、あんた私を辞書か何かと勘違いしてない? そんな氷づけの手首みたいなものが何かって聞かれても知ってるわけ無いじゃない」
「なら、調べてくれよ。これ、マイ言うには魔道具らしいんだ。魔道具と言えばジブル。ジブルと言えば魔道具だろ」
「しょうが無いわねー。けど、私は魔道具じゃないわよ」
とか言いながらもジブルはタブレットを出して検索し始める。僕らは使えないけど、ジブルのタブレットは進化してて、魔道都市アウフの図書館の本の内容が全てタブレットに入ってるそうだ。それから検索して色々調べてくれる。ジブルは否定したけど、僕らにとってジブルは情報収集の魔道具みたいなものだ。
「あっ、あったわ。『マッシュの手』?」
おっ、さすが。ヒットしたみたいだ。これで、この謎物体が何なのか分かる。マイが言った新種の魔物だったら笑うな。
「『マッシュの手』。墜ちた城のサムズ王朝時代の稀代の魔道具職人、ゲルギア・ガルの作った魔道具。当時、巷を騒がせた義賊マッシュの右手から型取りした手のレプリカを高硬度の魔道水晶でコーティングしたもの。効果はこれを見ている者は盗みを働けなくなる。ガルは商人からの依頼でこれを作ったが、これを展示した店はことごとく潰れたという。実は今の魔道では解析出来ない呪いがかかってるのかもしれない」
「よっしゃーっ!」
アンがガッツポーズする。
「ほらほら、私が言った通りでしょ。少し細かいとこは違いましたけど」
んー、なんか納得行かないな。アンなのに。
「もしかして、アンちゃん、知ってたんじゃないの?」
「へっ?」
今の虚を突かれたような顔。うん、知ってたんだな。
「お前、墜ちた城に行った事あるのか?」
「んー、そうですね。おぼろげに昔、空飛ぶ城下町に行った事あったような?」
「えっ、まじ、あんた現役だった時の墜ちた城の話聞かせてよ!」
ジブルが食いついてくる。
「それ、後でいいじゃない。で、この気持ちよ悪いのどうするの?」
マイが『マッシュの手』を指差す。
「ここに置いときゃいいんじゃない? そしたら、誰にも盗まれないわよ。マイの大切なもの」
ジブルが言うマイの大切なものってなんだろう? お金?
「いや、大丈夫だと思う。これ、ジブル持ってってよ。レプリカでも気持ち悪いわ。さっきの話って酷いわね。こんなのお店に飾ってたらお店潰れるって当たり前じゃない。気持ち悪くてあたしでもそんな店二度と行かないわ」
ジブルがマイに答える。
「そうね。魔道士って、専門バカ多いから、そんな事気付かないのよねー」
そして、『マッシュの手』は魔道都市に引き取られて行った。意外に高い金額で買って貰えたので、その一部は肉屋のおばさんに還元してあげた。なんで、そんな物体が肉屋に渡って来たのか謎だけど、調べるまでもないかな。
『マッシュの手』Fin
私が見た夢から考えた話です。夢の中で、ザップさんとマイさんたちが、謎手首をみてわいのわいのしてました。
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