芸忍者 8
「おい、こら、死んだふりせんで、話しいわや」
プリンさんはさらにナナフシのほっぺたをくにゅくにゅする。ナナフシは目を閉じてるけど、一瞬目元がピクピクしたような。死んだふりしてんのか?
「おい、そいつ大丈夫なのか? もう襲いかかって来たりしないのか?」
僕はナナフシを指差す。プリンさんが口を開く。
「大丈夫や。前のザップみたいに、一旦首を刈ってから繋いだわ。里長の術って一介死んだら解かれるから」
まじか、瞬間で首ちょんぱして、エリクサーで繋いだのか。それにしては血が出てないな。ん、プリンさんの横に丸い赤い球がういてる。血? あ、そうかピオン必殺の水操作か。けど、でっかい球だな。あんなに血出してナナフシ大丈夫なのか?
「それにしても激しくやったわね。けど、これってあたしたちは無関係よね」
マイはキョロキョロしてる。かなりカフェは破壊されている。けど、その通り。これをやったのはナナフシ僕らは関係ない。
「あっ、なんなんですかコレ?」
ナナフシが目を開け声を張る。なんかわざとらしいな。顔色悪いのに元気だな。
「どうしたんですか? 皆さん。誰がこんな事したんですか?」
何言ってるんだ? ナナフシは。
「お前だろ。お前のスキルかなんかだろ」
「何言ってるんですか? 私はただ土下座してただけですよ? 何も見てないし何もしてないです。気がついたらプリンさんに抱えられてるし」
むっ、コイツ、賠償とかが嫌でしらばっくれる気だな。ケチでゲスいな。
「うちは、あんたん手の内はまるっとお見通しや。何回やりおおたと思ってるん?」
プリンさんはナナフシのほっぺたから手を離さない。さらにぷにぷにされてナナフシはアヒルみたいな口になってる。その手をナナフシは掴んで離して口を開く。
「ちょっと、地味に痛いし、話せないじゃないですか。そんな事より、ザップさんちょっと、ちょっと」
ナナフシが僕に手招きをする。そして小声で話し始める。
「あのー、どうやら里長に操られてたみたいで、申し訳ございません。1つお願いがあって、コレ、他の忍者かなんかがザップさんに襲いかかって来たって事にして貰えませんか? 私この後ライブで忙しいんですよ」
「で、俺らが襲われたってなったら、ここの修繕費とかは誰が払うんだ」
「……多分、ザップさん達です」
「警備員さーん」
僕らはやって来た警備員さんにナナフシをつき出してコイツが暴れた詳細を話し、違うピオンの他の知り合いを探して話しを聞く事にした。




