芸忍者 7
「うちらの用事は、もう知ってるかもしれへんけど、里について知りたいんや」
やっとプリンさんが本題を口に出来た。なんか脱線ばかりしてて話しが進まないなー。ナナフシはストローから口を離して話し始める。
「そうなんですね。やっぱり報復に来たんですね。そうですよねー。プリン姉様がやられてやりかえさない訳無いですもんね。けど、本当にやるんですか? 十二神将動いてますよー」
やっぱり少し説明がいるな
「俺たちは別に好き好んで忍者に喧嘩売る訳じゃない。あっちが襲いかかって来てるからしょうがないだろ。降りかかる火の粉を払ってるだけだ」
「十二神将を火の粉って言えるのはザップさんくらいなものですよ。ここらの王族でさえも、里とは事を構えないようにしてるんですよ」
「じゃ、聞くが、なんか手打ちに出来る方法があるのか?」
「そうですね。里長は狙った獲物は逃さない。ザップさんがやられるしか無いですね」
「だろ、それならこっちから出向くしか無いだろ。ただでは殴られん。それより殴られる前に殴る」
「なんかザップさんって、聞いてた通りの方ですね。普通でしたら逃げますって。私だったら、海を越えて遠くに行きますね。まあ、それは置いといて、今、もう里無いですよ」
「えっ、どういう事だ?」
「みんな里から出て、ザップさんを暗殺するために向かってますよ。私たちにも伝令が来てます。『ザップ・グッドフェローを殺せ』って」
言葉と同時にナナフシが立ち上がる。
「申し訳ございません」
ナナフシはその場に膝をつくと頭を地面に付ける。なんだ? なんなんだコイツは? 土下座が趣味なのか?
「ザップ危ない!」
ピオンの声がしたと思ったら、僕はピオンに激しく殴り飛ばされていた。吹っ飛びながら見たのは僕が座ってた所の床から突き出た巨大な腕。着地したとたん下から殴られる。また巨大な腕だ。突き上げられ、天井に叩き付けられ、また落ちた所を殴られる。けど、大した事ない。一番痛かったのはピオンのパンチだ。収納からハンマーを出し、天井を蹴って床に着地した瞬間、横に跳ぶ。けどもう追撃はない。ピオンがナナフシに肩を貸している。やったのか? もう安全だろう。今の騒ぎでカフェのお客さん達は三々五々逃げ去った。 今も騒ぎながら出口に殺到している。
「なんなんだあれ?」
ピオン達の所に向かいながら、地面からつき出している腕を見る。土で出来てるみたいだな。
「ナナフシの必殺技、『土下座パンチ』や。相変わらず、ゲスでせっこい技やわー」
プリンさんは、肩を貸してるナナフシのほっぺたをくにゅくにゅしてる。息してる。ピオンにしては珍しく、殺してないみたいだな。良かった。数少ない友達みたいだし。




