魔法の絨毯
「やっぱ。サイコー。絨毯サイコー!」
僕は風を受けて叫ぶ。僕らは今、魔道都市アウフの魔道士ギルドで借りた魔法の絨毯に乗って盗賊都市ドバンに向かっている。メンバーは、僕、マイ、アン、ピオン。目的は何故か僕に襲いかかってくる、『言霊使い』という忍者の元締めをぶっ倒すためだ。襲われる理由は正直掃いて捨てるほどあるからどれなのか分からない。多分、前にドバンで暴れた事が原因なのではと思う。収納スキルで風の抵抗を減らしているから、絨毯は早い早い早い。多分下手したら今日中にドバンに着くかもしれないな。
「ザップ、ドバンに行く前に寄り道して」
自主的に口を開かないピオンにしては珍しい。
「ん、どこに寄るんだ?」
「メダリオンに行きたい」
「メダリオン? んー、聞いた事あるけど、それどこにあるの?」
「もー、ザップ、物忘れ激しすぎるんじゃない? メダリオンはメダリオン。商業都市メダリオンよ」
あ、それなら分かる。東方諸国連合の北東にある都市で、商業都市の名前で知られている。商業都市なら分かるのになんでわざわざメダリオンって言ってるんだよ。
「で、そのメダリオンに何しに行くんだ?」
「メダリオンではお金を出せばどんな情報でも手にはいる。何かする時にメダリオンに行くのは業界の常識」
その業界って何の業界だよ。間違いなくピオンが言ってる業界って暗殺者業界だよな。まあ、その手の話するとピオンがすこし鬱るから止めとこう。
それは置いといて、正直『言霊使い』については知らない事が多すぎる。『忍者の里』ってとこに行って暴れまくってたら、出て来て、サクッと倒して終わりって考えてたけど。やっぱしっかり情報収集は大事だよね。もしかしたら、3代目の情報も手に入るかもしれないし。
「それで、メダリオンってとこの名物はなんなんですか?」
ドラドラゴンが口を開く。こいつはいつも通り、メダリオンでどういう美味いものが食えるかしか頭に無いんだろう。幸せな奴だ。
「そうね。有名なのはオムレツ。あと、玉子料理一般ね」
「なんで玉子料理なんだ?」
「さぁ?」
「それは、あたしが答えるわ。メダリオンは昔から商業で栄えているんだけど、土地があんまり無いのよ。だから、牛や豚よりも鶏を育てるのが盛んで、昔から鶏料理が有名なんだけど、最近では玉子料理も売り出してるからそれが有名になったのよ」
「そうか。で、美味しいのか?」
「観光客向けの店は高くて美味く無い。けど、地元の人たちの行きつけの店は普通に美味い。私のオススメの店に連れていってやる」
いつも無表情のピオンの顔が少し緩んでる。これは期待出来そうだな。
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