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第十八話 荷物持ち肉を解体してもらう

 誤字報告ありがとうございます。とても助かります。


「ケルベロスを……一人で……」


 マイが何か一人でブツブツ呟いている。


 ケルベロスの傍らに金色のポーションが落ちている。ついてるな、こいつは美味い。蜂蜜と果実を混ぜたような味がする。あとでマイに飲ませてやろう。


 収納から斧を出す、まずは輪切りにして内臓を取り出そう。


「ザップ。待って。血抜きしないと」


「なんだそれ?」


 振り下ろそうとした斧を止める。


「ザップのお肉、血抜きしてないから臭いのよ」


 そうなのか? もっと美味しく出来るのか?


「どうすればいい?」


「んー、まずは首を落として」


 要望通り首を落とす。地面に血が広がる。


「あたしの荷物出して」


 マイは荷物からナイフを出すと慣れた手つきで腹を開いて内臓を出した。


「ザップ。モツを収納に入れて」


「ああ」


 言われるまま収納する。こんなもんどうやって食うんだ?


「次は手足の先を落として」


 言われるままに斧で切り落とす。


 マイは器用に切り口からナイフを入れていく。僕はケルベロスの体勢を変えるのを手伝ったりする。


 マイは、しばらく後にはきれいにケルベロスの皮だけを剥いでいた。早いし仕事が綺麗だ。


 言われるままに、斧を振るい、気が付いたらケルベロスは完全解体されて、僕の収納に収まった。頭とか手足の先も使えるそうだ。


「ザップの収納に入れたら腐らないのよね。これで2人で1ヶ月は食べ物に困らないわね」


「ああ、助かる」


 マイは耳を小刻みに振るわせて微笑んだ。


 凄いな。まさか1匹からそんなに肉が取れるとは。


 もう上を目指してもいいが、マイにエリクサーを使い過ぎたので、補充したい。

 あと、次の階層には水場があるからそこで水の補充もしようと思う。上の階層に行ったときにエリクサーを飲み続けてたら、もし他の冒険者に会ったら不審がられるだろう。


 その前に肉の解体の礼だな。


「拾った。飲め」


 僕はさっき拾った金色のポーションをマイに差し出す。


「えっ!!!」


 マイが固まった。


 僕をじっと見てる。


 その手に小瓶を握らせる。


「肉の礼だ」


「えっ! 全く釣り合わないよ。ザップ、これが何だか知らないの?」


「美味い水だ」


「ザップ。これはスキルポーションよ。飲んだら何らかのスキルを誰でも手に入れられるのよ。鑑定してそのスキル次第では小さな国が買える程の金額になるわ」


 そうなのか? どうりで落としたのは大きい奴ばかりだったな。


「それがどうした? ここでは金は役にたたん。食えんしな。なおさらお前が飲め。少しでも強くなれ」


「ううっ……」


 マイはその場に泣き崩れた。強く言いすぎたか?


「なんで……ザップは……あたしなんかに優しくしてくれるのよ……獣人だし……スキルもないし……何も出来ないし……」


 面倒くさい奴だな、一度も優しくしたつもりはないがな。


「早く飲め。行くぞ」


 マイは瓶の口を開けて飲む。


「美味しい……美味しいよぉ……」


 マイは僕の後をしばらく泣きながらついてきた。そんなに美味かったのか?


 ザップが無知過ぎるという御感想が多いですが、きっと成長してくれるはずです。

 読んでいただきありがとうございます。

 


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