ダンジョンズ&トロールズ 3
「止めるのじゃ! パム!」
珍しくディーが声を荒げる。何かあったのか?
「ディーちゃん心配症だなぁ。大丈夫だってアイツらこっちには来られないんだよ」
「「ウッゴー! ウガウガ!」」
なんかトロールさん達は怒り狂っている。まあ、馬鹿にされてるっていうのは伝わってるんだろう。けど、パムが言う通りこっちには来ない。なんかすこしオモロ。けど、なんかデジャブ?
「パム止めるのじゃ!」
いつもは暴走する側のディーが止めるのは珍しいな。
ドガッ!
パムが勢いよく跳び上がる。
ゴスッ!
跳び上がったパムがヤバげな音を立てて天井に激突して落ちてくる。そしてお尻丸出しでうつ伏せに地面に叩き付けられる。あ、ピクピクしてる。お尻真っ赤だ。どうもトロールに思いっきり蹴り上げられたみたいだな。自業自得しまくりだな。
「くっそー、何が起こったんだ?」
ユラリと立ち上がるパム。それに近づいてくる巨人2体。通路に出て来てる。部屋から出られないんじゃないのか?
大丈夫か? トロールの身長、パムの3倍はあるぞ。パムが小っちゃいから余計トロールの大きさが際立つ。
「多分、迷宮のルールが書き換えられたんじゃろう」
ディーの言葉で思い出す。そう言えば、『やつしの迷宮』でも同じような事が。部屋から出て来なかった魔物がいきなり部屋から出るようになったな。
「このクソ共がっ!」
ズボンを上げて整えながら、パムが悪態をつく。さっきまでの可愛らしい声じゃない。ヤカラだ。酒場でクダ巻いてる目を合わせたく無いタイプのヤカラの声だ。
「うち殺すぞ! このダボがっ」
無造作に放ったただ前に出すだけのような蹴りがトロールの足に刺さる。蹴られたトロールは後ろに下がりながら勢いよく地面にキスをする。マジかよ、パムの職業は盗賊だよな?
「クソっ! 舐めた真似しやがって。このスカ〇ロールがっ!」
また、言葉に出しちゃいけないセリフだ。
ゴキュッ!
パムが倒れたトロールの頭を無造作に蹴る。変な方向に曲がってるよ……
もう一体のトロールは踵を返して一目散に逃げ始める。そりゃそうだ。格が違い過ぎる。
「待てやこらーっ! おどれも同罪じゃ! コラ!」
パムは落ちてるトロールの頭をムンズ掴むとそれを地面を這うように放る。トロールだったものはクルクル回りながら逃げたトロールの足元に命中する。その転倒するトロールに刺さる小さな影。パムだ。あれはドロップキック。蹴られたトロールは矢のごとき速度で飛んでくと、壁にぶつかり弾ける。パムはくるりと回って着地する。
「ザコがっ! もっと楽しませろや、ゴラァ」
これが、一流冒険者!?
怖ぇ……




