武器2
「そうだよな。パム、私は剣が得意だから後で頑丈なのを見繕ってくれないか?」
ライが得意なのは剣じゃなくて拳だと思うけど、言うのを止める。
「いいけど、ここの武器と同じくらいの強度の剣って、桁3つくらい上がるよ」
おいおい、桁3つって普通の人の年収くらいいくんじゃないか?
「まじか。じゃあ、私は斧にするよ。カナンとディーも1本づつなら、お金余裕あるから」
ライは剣がいいとかゴネてたくせに、両刃の斧を持ち上げてうっとり眺めている。戦士って武器が好きなんだな。
僕とディーもパムに許可を取って武器を手にする。僕にはライというメインウェポンがあるにはあるが、取り回しが効かない迷宮では普通の武器がいいだろう。斧は刃を立てないと威力が下がるからやっぱハンマー系だろう。1つ1つ手にしてみる。サイコロに刺がついたようなやつ。これも角度調整がいるからダメだ。先が太くなってて扁平した刃がついたようなやつ。これはヘッドが軽過ぎる。棒に刺つきの鉄球がついたやつ。なんかしっくりくる。何も考えずに殴れそうなのがいい。ディーの方を見ると両刃の肉厚な斧を手にしている。ライが持ってるのよりさらにデカいやつだ。
「やっぱり、それ、選ぶんだ」
パムが笑顔でこっちを見ている。何の事だ? ライがお金を払ってパムが店主に手数料を払う。
「武器、邪魔なら収納に入れときなよ。オイラも色々収納に入れてるよ。けど、人前じゃあんまり収納は使わないようにね。激しい収納スキル持ちは、変なやつに目を付けられるからね」
僕たちは顔を見合わせる。なんでパムがそんな事知ってるんだろう?
「お姉さんたち遠くから旅して来たって言ってるのに、荷物持ってないでしょ。収納スキル持ってるっていうのはもろバレだよ」
まるで僕らの心を読んだような物言い。さすが一流冒険者。変態じゃなければいい人なのに。
僕らは遠慮無く武器を収納にしまう。それからこざこざと買い物したら結構な時間だったので、少し贅沢な晩ご飯のあと宿を取って出発は明日にする事にした。僕らは三人部屋を取って、パムはその隣の部屋を取る。パムが執拗に自室に招こうとしたけど、みんな丁重にお断りした。そして、早起きして朝食を取り、『原始の迷宮』行きの馬車に乗り込む。やたら向かう人が多く、馬車はすし詰め状態だったけど、僕らは早起きしたおかげで、なんとか座る事は出来た。迷宮までは馬車で半日くらいだそうなんで、座れてよかった。半日も手すりを持って立ったままはあんまりにもきつすぎる。
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