王都
城門で僕らは通行税を払い、馬車に揺られて大通りを進む。帝都と違ってなにもかもが装飾が多い。街の中央には王城があり、その前にある広場から放射線状に道が延びているそうだ。街で一番高く大きな建物は王城。街で迷ったとしても王城目指せばどこからでも広場に戻って来られるという旅人に優しい街だ。さっきから、ディーは建物を見上げたりキョロキョロしてる。お上りさんってやつだな。それに比べてライはどっしりと構えているが、ディーがなんか声を上げるたびにそっちをチラみしてる。お上りさんって見られたくないお上りさんだな。今や無傷で外に出られるのはライだけだ。まずは傷を全快できるという、エリクサーやフルポーションが売ってないか探してみる事にする。
中央広場で馬車を降りて、通行人に聞いて冒険者ギルドを目指す。辺境の町では最低限の買い取りしかしてもらえなかったから、魔石や素材を換金するためだ。ミーから指示された。馬車での旅の途中では人目につくからミー達と会話してたのは宿かトイレでばっかだ。ちなみにミーのポータルは僕の左胸に装備している。まあなんとかアクセサリーには見えるはず。
『ついたわよ』
アムドさんの声だ。びっくりするなぁ。人が多いとこでは誰が話したか分かんないからこんな感じでいきなり話しかけて来たりする。
目の前にはスイングドアの大きな建物。剣と杖の紋章のついた大きな看板。間違い無い冒険者ギルドだ。僕は怯む事無く中に入る。
入った瞬間僕たちに視線が集まる。昼過ぎだというのに人が多い。帝都より広く活気がある。耳目を集めたのは一瞬。みんな興味なさそうに目を逸らす。
真ん中に道があり突き当たりには受け付けと思われるカウンター。ずらりと職員さんが座って並んでいる。その道を挟むように左右に丸テーブルが並んでいる。ぱっと見、丸テーブルは50くらいあるのじゃ無いだろうか。帝都に比べて倍くらいの広さがある。その半分くらいは人でうまっている。もうすぐ昼なのにこれだけ人がいるという事は、朝、依頼が刷新される時間は人でごった返すんじゃないだろうか? 入って左手には武装してない人達がいる。大きな背嚢を持ってる人が多い。多分荷物持ちの人達だろう。なぜか見るだけで懐かしさを感じる。見渡してみると、手前から奥になるに従って冒険者たちの年齢が上がり武装が豪華になってるように見える。多分席がだいたい決まってるんだろう。
僕らはまずは買い取りカウンターに向かう。




