荒野の死闘 3
「シープコイツは何者だ?」
ペストマスクが問いかける。
「強くて、とてつもない収納能力の持ち主。変身したザップか、ザップの関係者」
シープが答える。僕がザップ? 無い無い。それなら、ザップの知り合いっぽかった、デルさんやルルさんが何らかのリアクションをしたはずだ。関係者? 僕には記憶が無いけど、その可能性はあるかもしれない。
「なら、殺しとくか。シープ、眠らせろ」
ペストマスクが感情を感じさせない声で言う。やっぱり、コイツも沢山の人を殺してきたのだろう。それとも操られているからか?
「はい」
シープが答える。シープは土埃にまみれた顔でこちらを向く。急激な眠気。いかん。やっぱり全く抵抗できない。
「ぐうっ」
つい、うめき声が漏れる。左腕に激痛がはしる。ミーの収納から投げナイフを出して貰って腕に刺した。激痛はシープの睡眠を解除できる。あらかじめミーに頼んでた。対策済みだ。
けど、なんも好転してない。体は動かない。寝て意識は失わなかったけど、怪我してるから悪化してるな。ディーはどうなったか分かんないし、先生とライは寝ているし。
「変なスキルを持ってるのか。眠ってる時に苦しませずに殺してやろうとおもったんだが。しょうがないな。モンキー」
「まってくれ! ホース!」
ペストマスクの言葉を黒装束、モンキーが遮る。
「どうしてだ?」
「ほら、見てみろよ。こいつめっちゃ可愛いじゃねーか。ここで殺すのは勿体なさ過ぎるだろ。ターゲットのザップじゃねーんだろ」
おっ、可愛い女の子って得をするって聞いた事があるけど、まじかよ。もしかして助けて貰えるのか?
「確かにそうだが、仲間かもしれないだろ」
「なあなあ、俺たちゃプロだ。殺してお金を貰ってる。ザップをやるのは仕事だけど、これは依頼されてねーだろ。最小限の事しかしない。それがプロってもんだろ」
なんかプロとして最低な事行ってる気もするが、頑張れモンキー!
「だが、コイツは我らの姿を見た。今後の事も考えて消してた方がいいだろう」
「おいおい、ホースさんよ、何言ってるんだよ。見た奴は殺す? そんなら俺ら街歩いてたら、街にいる奴全員殺す事になるぜぇ」
なんか無茶苦茶言ってるな。
「確かにそうだな」
納得するのか。このホースって奴、大丈夫か?
「だが、私の勘がこいつはここで殺すべきだと告げている」
「頑固な人だなー。わかった。それなら間を取ろう。俺は殺したくない。あんたは殺したい。じゃ、一日俺がこの娘を預かって、それでアンタが殺さなくてもいいって思ったら、殺さないそれでいいか?」
「まあ、いいだろう」
ん、なんか微妙だけど、助かるのか?




