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 迷宮都市オリンピュア


「うわ!すっごーい」


 ラファが馬車から身を乗り出して外を見る。僕も見たい所だけど、マイとアンに挟まれて座っている形なので、どちらかに密着しないと外は見れない。


 マイとアンも窓から身を乗り出して外を見る。


「あれはサードウォール1番外の城壁です」


 導師ジブルが口を開く。導師と言うだけあって物知りさんなのだろう。


「迷宮都市オリンピュアの城壁は3つあって内側に行くほど強固になります。はい、何ででしょう?」


 ジブルは僕達を見渡す。


「そうだな、普通は外ほど頑丈な防壁を作るはずだよな」


「ということは、城壁が守っているのは街の中では無くて、街の外?」


 マイが首をかしげる。


「そうです。この城壁が守っているのは世界。迷宮から溢れる魔物から世界を守ってるのですよ」


 ジブルが怪しく微笑む。幼女がしても様にならない。


「ラファ様、そんなに迷宮は危険な所です。というわけで、迷宮には入らずに私と街でゆっくりしましょう」


 騎士ミケがラファ姫をじっと見つめる。


「つまんないからやだ」


 ラファ即答。けど実際、僕らみんなを操れるほどの精神魔法を使えて火を吐くこの姫様がこの中では1番強いのではないだろうか?


「ミケ、ふと思ったんだけど、迷宮に入って1番危険なのはお前じゃないのか?」


「ギクッ」


 ミケがのけぞる。本気でギクッて言う人初めて見た。


 そうこうしてるうちに城壁にたどり着く。馬車にはアウフ魔道都市の紋章が入っているので、すんなりと門をくぐる。大通りを通り次の城壁に向かう。道に面してる所は普通の建物が見えるが、その奥にはちらほらテントであったりとか、端材を組み合わせたような粗末な建物が見える。


「ここはサード地区。空き地も多く、流れ者や駆け出しの冒険者とかあまり裕福でない人々が住んでます」


 ジブルが解説してくれる。


 そして次の壁につき、また門をくぐる。


「ここはセカンド地区です。ここが1番広く、いわゆる一般市民が住んでます」


「それで、ジブル、俺達は今どこに向かってるんだ?」


「え、魔道ギルドの本部ですけど、そこが魔道都市アウフの拠点にもなってます」


「おい、ラファがいるだろ、お前達だけでそこには行けよ。俺達はここで降りて宿を見つけてゆっくりするよ」


 僕は収納から1つコースターサイズの小さなポータルを出す。


「これを持って行け。宿が決まったら名前を送るから。なんか連絡があるときはこれにメモを重ねてたら受け取るから」


「ザップ様、その前に墓石チューム・ストーンとタワーを見て行きませんか?」


「なんだそれ?」


「冒険者ギルドの巨大な長方形の建物はここでは墓石って呼ばれてて、魔道ギルドの建物はタワーって呼ばれてます。街を代表する建物なので、よろしければぜひ」


「ザップ、見ていこう」


「ザップ、見たい!」


 マイとラファの要望で、僕達は街の中央に行くことになった。


 中央の堅固な城壁、ファーストウォールをくぐり抜ける。


 墓石。冒険者ギルドの本部はその言葉がしっくりくる建物だった。広場の正面に立つ巨大な建物。飾りっ気が全く無く窓だけ開いた何で出来ているかわからない薄灰色の壁だ。


 タワー。魔道ギルドのこの町の本部だけど、アウフにあったどんな建物より立派だ。墓石から少し離れた所にある。円筒形の建物だ。墓石とは対象的に装飾が多く、薄茶色の素材で出来ている。今まで見た建物の中で1番高い。どうやって作ったのだろうか。


 そして、迷宮の入り口。広場の中央に大きな穴が緩やかに地下に向かっている。そこを武装した人々が行き交っている。こんなに冒険者がいるのか?しかも目の前にいるのはその1部でしかないはずだ。


 凄い、ここが迷宮都市!


 なんか胸の奥が熱くなる。


 ここから、僕達の新しい冒険が始まる!


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