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 王国へ 5


「ご主人様、さすがですね。けど、まだワシはいける」


 肩で息をつきながら、ディーが口の泡を手の甲で拭ってる。けど、その目はまだ死んでない。相変わらず負けず嫌いだな。


「カナン、もっとゆっくり行こうよ」


 ライのまつげ、無くなってるな。風で飛んだんだろう。スキンヘッドにまつげ無しはなんか怖い。言ったら泣くから言わないけど。もうヅラは抱きしめて無い。収納に入れたんだと思う。


「僕はゆっくり行ってもいいんだけど、ディーがまだ走り足りないみたいだな」


「そうじゃ、ワシは古竜の末席と言えども、伝説の一角。人間に走りで負けたとあっては、古竜の誇りに傷がつくのじゃ」


 その誇り、傷つきまくってると思うけど、ツッコむのは止めとこう。面倒くさくなりそうだから。


「しょうが無いな、ライいくぞ」


 ライに背中を向けると、乗っかってくる。これくらいのハンデがあってもディーには負ける気がしない。


「3・2・1・ゴー!」


 僕は号令をかけて走りだす。隣はディーがついてきている。そして、僕らは街道をひた走る。なんだかんだでディーに追い抜かれる事はなく、バテてきた彼女の様子を見ながら行く。



「待ってー、君たち、待ちなさーい!」


 ん、走ってる僕らを追いかけて来る人がいる。2人? うん、女の子2人だ。早い。みるみる僕らに追い着いてくる。1人は黒いとんがり帽子に黒いローブの魔術師。胸デカいな。ぶるんぶるん揺れてやがる。もう一人は肩口までに切りそろえた金髪にチュニック。どうも敵ではなさそうだ。走る速度は半端ないけど、多分冒険者。なんの用だろうか? 


「ディー、止まるぞ」


「了解」


 僕らは立ち止まり交渉する事にした。


「並々ならぬオーラ。あんた達何者なの?」


 魔術師っぽい女の子が口を開く。その後ろには金髪の女性。髪から尖った耳が覗いている。エルフ。エルフを見るのは初めてじゃ無いけど、なんか見た瞬間背筋がゾワッとした。まるで、初めてムカデやげじげじを見た時のような感じだ。とっても綺麗な人なのに何故だ?


「僕の名前はカナン。旅人だ」


「わしはディー」


「ライです」


 背中から伝わるライの鼓動が早い。びびってるな。


 おっぱい魔女が目をキラキラさせながら口を開く。


「うわ、ボクっ娘と、ワシっ娘。濃いわー。ってそんな旅人居るわけないじゃないの。アンタら、馬の倍くらいのスピードだったわよ」


「ん、現にここに居るじゃないか。それにアンタらだって僕らに追い着いて来たじゃないか?」


「私たちは普通じゃないからいいのよ。私たちくらいの速さで走れるってだけで普通じゃないわ。で、あんたたち何者なの?」


 普通じゃなくていいって、なんか変態みたいな物言いだな。けど、何者かって聞かれても、本当に旅人なんだけどな。

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最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
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