地上に向かって 14
久々に短編書きました。題名は『【陰キャと王子】振られて傷心の男の子が女心を学ぶために女装してメイドカフェで働きます。そこで一目惚れした超絶美少女はなんと……』です。下にリンク張ってますのでよかったら見に来て下さい。
https://ncode.syosetu.com/n1116ir/
「いただくわよ」
シープはツカツカとタイガーに歩み寄る。
「しょうがねーな。まさかあんな反則のような宴会芸持ってるとはな」
タイガーはシープにミスリル貨を渡す。まあ、そうだな。タイガーも頑張ってたけど、シープは面白かった。
パン、パンッ。
ディーが手を打つ。
「はいはい、くだらない事はそこまでにして、早く行くわよ」
「お前がさせたんだろ」
つい、ツッコんでしまう。
索敵能力が互いタイガーを先頭にライがナビしながら僕らは地下1階を進む。居住区に入り、荷物をまとめる時間を貰う。僕とライは部屋を回りざっくりと必要なものを収納に入れていく。他の人たちはリビングで寛いでて貰ってる。
『ちょっとー、あんたらどうするつもりなの?』
久しぶりにライの頭についたミーのポータルから声が。
「どうするって?」
『忍者たちよ。楽しそうに遊んでたけど』
そうだよな。なんか憎めない奴らだけど、ミーたちをこんなにしたのは奴らだもんな。
『けど、別にあたしたちは気にしてないから、戦わなくていいならそれにこした事はないわ。あたしたちの一番の願いはあんたたちが無事でいる事よ』
「ありがとう」
ライが応える。
「そうか、ありがとう」
僕も礼を言うけど、複雑な気持ちだ。どうすればいいんだろう。
モヒカンたちのものは残し、あんま考えずに収納に放り込んでいったので、準備はすぐに終わった。タイガーたちと合流して進む。迷宮の入り口にたどり着いて、階段を上っていく。
「眩しいなー。ひっさしぶりの地上だぜ」
タイガーが目の上に手でひさしを作って外を見渡す。久々の地上は眩しい。辺りは目が慣れてないからか白っぽく、乾いた空気が心地よい。
「はーっ」
僕も外に出て大きく体を広げる。やっぱ外はいいな。空気が美味い。ディーも僕みたいに両手を広げて外を満喫している。けど、ライはディーの後ろにコソコソと移動する。そりゃそうだよな。僕らと十二神将は友達でも仲間でもなんでも無い。外に出るまでの協力関係だったからな。
「タイガー、いくわよ」
シープが口を開く。僕、ディー、ライとタイガー、シープは少し距離を取って対峙する。いくわよって攻撃してくるって意味なのか? それともどっかに行くって意味なのか?
ヒュウウウーッ。
風が落ち葉を舞い上げる。来るか?
「止めた。止めたわ。命が幾つあっても足りないわ」
シープは手を頭の後ろに組んで僕たちに背を向ける。
「あんたたち、王国に行くんでしょ。私たちは、そうね、まずは鉱山都市に行ってあとはそこで考えるわ」
シープは歩き始める。
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