地上に向かって 12
久々に短編書きました。題名は『【陰キャと王子】振られて傷心の男の子が女心を学ぶために女装してメイドカフェで働きます。そこで一目惚れした超絶美少女はなんと……』です。下にリンク張ってますのでよかったら見に来て下さい。
https://ncode.syosetu.com/n1116ir/
「くうっ、私の鉄板ネタが……あ、そうよ。ディーさんはもう何年も月を見てないのよね。見てないならしょうがないわよね」
ライはなんか勝手にへこんで、勝手に立ち直っている。
「続けていくわ! 満月でダメなら、ま……」
ドカッ!
僕はパンツに手をかけたライにドロップキックをかます。派手にライは飛んでいいく。ダメだ。お金に目が眩んでも女の子の下ネタは禁止だ!
けど、一瞬ディーがクスりとしたような?
「おいおい、ディー、なんでそんな無茶ぶりするんだ? お前、早く地上に出たいんじゃないのか?」
「そりゃ、さっきのような愉快なダンスを見たら、もっと上の笑いを求めてしまうもんじゃよ。久しぶりに笑わせて貰った。早く外には出たいけど、もうすぐ出られるからの。人生いついかなる時でも余裕は大事じゃよ。どんな時でも笑える余裕を持たないと楽しく無くなるぞ」
都合がいい奴だな。通路壊しただけで早く出たいとか言って癇癪起こしたくせに。それよりも。
「それならお前、僕への借金返済に充てれば良かったじゃねーか」
「借金? そんな話もあったの。じゃがワシはドラゴン。長い時間をかけて返せばいいからの」
ゲッ、こいつ僕に借金返す気全く無いな。
「ほれほれ、早くワシを笑わせんか」
ディーは顎でコインを指す。横着だな。
「見てろ、俺様の必殺芸ーっ!」
タイガーが右手を上げて4本の爪を上に伸ばす。なんだよ。その必殺芸って、人を必ず殺す芸なのか? 適当な奴だな。
「東洋300年の神秘! ハラキリっ!」
タイガーは横を向き、その爪を腹に振り下ろす。そしてその爪はタイガーの体を貫き、背中から飛び出る。ん、背中に左手、丁度前からは死角で隠れるように左手で爪を伸ばして、右手の爪は腹に当ててるだけなんだろう。
「ぐえっ! うごっ! フガッ!」
タイガーは器用に右手を動かして、何度も腹に爪を突き刺してギゴギコしてるように見せる。凄い、確かに必殺芸だ。けど、なんかグロい。ディーも少し引いている。しょうがない手助けしてやるか。
「ディー、これの面白いとこは、あいつ、人知れず、この芸を何度も何度も練習してたんだよ。そうじゃないとあそこまでスムーズな動きが出来る訳がない。あいつは、忍者と言う暗殺者。どこでその鍛えた芸を披露するつもりだったんだろうか?」
タイガーの動きが止まる。額にツツーっと汗が。
「あうちっ!」
手元が狂って自傷してる。バカなのか?
「キャハハハハハッ」
ディーが決壊した。こりゃコインはタイガーのものだな。なんだかんだで年くっててもディーの中身はおこちゃまだな。リアクション系の笑いに弱いみたいだな。
「おお、ドラゴン様が笑った。では、あのミスリル貨は俺が貰っても」
タイガーがお腹を押さえながら、コインに手を伸ばして拾う。
「ちょっと待ったー! 私がまだいるわよ」
ビシッとこっちを指差すシープ。その瞳は燃えている。どんな戦闘時でも見られなかった目だ。もっと有意義な時に本気になれよ!
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