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 地上に向かって 7


「千切れる、千切れるー」


 ミミックからか弱い声が聞こえる。ていうか、なかなかしぶといなシープ。先生でさえミミックに食われた時は死にかけてたのにじんわりと血がにじんでるだけだ。


「シープっ!」


 タイガーが爪を伸ばしてミミックに切りつけるが、爪が折れる。そうなんだよ。ここのミミックってやたら頑丈なんだよ。シープはバタバタ足を動かして、なんか鎖かたびらの裾からパンツ的なものも見えている。不様だ。別にここで奴が食われても問題ないよな。


「しょうがねーな」


 僕は駆け出しミミックを掴みその牙がびっしり生えた蓋に手をかける。


「でえぃ!」


 バキッ!


 派手な音を立てて蓋は限界以上開いて壊れる。ミミックは噛み付くのは強いけど、口を開かれるのにはそんなに耐性が無い。そういう風に作られてるのだろう。


「助かったわ」


 シープにポーションを投げてやる。パシッと受け取り飲む。アムドさんがいいポーションって言ってたのだから、シープの怪我もなんとかなるだろう。


「厄介よねー。なんでコイツも寝ないのよ。なんかこれじゃ私が役立たずみたいじゃない」


 みんな口を噤む。けど、ディーが。


「役立たずみたいじゃなくて、役立たずじゃろ。お主、ミミック一匹も倒せんのか? よく今まで生きてこられたな」


 チーン!


 ディーとシープの間に透明な盾が浮かぶ。微かに涼やかな音がする。またシープの睡眠攻撃をディーが防いだのか?


「何よその盾、不公平じゃない。チートよチート。あんたその盾止めなさいよ。たまには食らいなさいよ」


「またまた、カスのような睡眠攻撃か? ワシにはそんなもん盾無しでも効かんぞ。最近寝付きが悪いから、夜にでも使って貰えんかのー。しっかり眠れそうじゃ」


「いいわよ。ずっと寝たままになると思うけど」


「上等じゃ。羽虫のような攻撃でも、ワシに攻撃した事は事実。そろそろ教育してやろう」


「フッ、甘いわね。私の攻撃は効かないけど、私は兎族。逃げ足だけは十二神将トップクラスよ、あんたの鈍亀みたいな攻撃なんてかすりもしないわ」


 なんかとてつもなく情けない事でシープはドヤってる。こんなヤツに仲間を傷つけられたと思うと悲しくなってくる。収納の中でこっちを見てる仲間たちも同じ気分だろう。

 不毛だ。すぐ口喧嘩するなコイツら。多分似たもの同士なんだろう。きりが無いな。


「まあ、わかったから、お前たち行くぞ。シープ、懲りただろ。次からは宝箱は無視しろよ」


 僕はディーをシープから引き離す。


「はーい。分かったわー」


 なんか、感情籠もってないな。こりや懲りて無いな。


 それから、二度程、シープはミミックに食われて、やっと地下二層を後にした。

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