迷宮から
「なあ、迷宮ってもっと下もあるのか?」
僕はディアシーに問いかける。地下6層にはさらに下に降りる階段があった。下に何があったのか気になる。
僕たちは階段を上っている。先頭はタイガー、それにシープ、ライ、ディアシー、僕の順だ。
「ん、あの下はワシの部屋とその下は階段で、ワシが封印されてたとこに続いてる」
なんか大したものは無さそうだな。
「お前、この迷宮の中で他の場所を見たりできるのか?」
なんか迷宮で作為的なものを感じる事が多々あった。
「管理者だった時は出来たけど、今は無理じゃ」
「遠隔で魔物を操作してたのか?」
「操作って言うか、簡単な命令ならしてたな」
そうか、ガーゴイルがやけに賢いって思ったりしたのはコイツのせいか。ま、もういいけど。
「地下1層でシープが眠らせたモヒカン達はどうなったか知らないか?」
まあ、所詮モヒカンだけど少し気になる。
「起きて外に出たみたいじゃが、それ以降は知らんな」
まあ、じゃ、元気そうだな。良かった。良かった。
ライがペースを落としてディアシーに並ぶ。
「ちょっとちょっと、じゃ、ディアシー、私達が体拭いたり、トイレ行ったりしてたの見てたの?」
「おいおい、ワシはドラゴン、しかも女じゃぞ、お主のように貧相な体を見る趣味も無いし、食べる事ならまだしも排泄行為などには興味無いわ。もっとも、汚いホブゴブリンや、ご主人様はよく覗いてたがな」
「ちょっ、アンタ、貧相ってガッツリ見てるじゃないの。それに、カナン、アンタ覗いてたの?」
まじか、覗いてるのを覗かれてたのか……
「気にするな。僕はミーをメインに狙ってた。お前の貧相な体になんか興味ない」
「って、あんたもしっかり覗いてるじゃないの。胸なんて小っちゃいくらいが冒険者としては丁度いいのよ。戦うのの邪魔になるし、弓打つときもっと邪魔になるし。それにディアシー、あんただってまな板じゃないの!」
「お主は成人してるのじゃろ。ワシはまだまだ成長期じゃ。お主らの年齢に換算したら16歳くらいじゃ」
ん、16歳、それにしたら背丈は成長してないんじゃ? けど、胸はライよりあるように見える。
「アンタ、女の子の裸に興味あるの? キモっ」
シープが振り返る。あ、そうか、コイツらカナンとコナンが同一人物って知らないのか。
「シープだったか? お主の方が数倍キモいじゃろ。コイツが覗いてたのは」
「あー、あー、言うなドラゴン。みんなを眠らせるわよ」
シープが顔を真っ赤にしてディアシーの言葉を遮る。
「ディアシー、これくらいにしとこう。早くここを出るぞ」
「了解じゃ」
ここら辺で止めとかないと、また脱線しそうだ。後でディアシーを口止めしとこう。




