エンシェントドラゴン 13
ディアシーの攻撃をことごとく受け止める。右、左とまるで狂乱したかのように僕に爪を叩き込んでくる。それをハンマーで受け、かわせるやつは最小限の動きでやり過ごす。さすが竜の爪。擦っただけで服が千切れ飛んでいく。それに僕のハンマーはもうベコベコだ。柄はいつ折れてもおかしく無いからハンマーの先の実に手を添えて受ける。また武器買わないとな。
「グガーーーーーッ!」
ディアシーは大声を上げ両手を振り上げる。これを待ってた。ディアシーは両手を合わせて僕に振り下ろす。
ドゴン!!
後ろに下がりギリギリでディアシーの両手をかわす。地面を叩いて手が深く埋まる。衝撃で近くまで降りて来たディアシーの頭、目が合う。僕はニコリと微笑み優しくその鼻先に跳び乗る。鱗にしっかりしがみつく。ディアシーはブルンブルン頭を振るけど、甘い、僕の握力を舐めるな。そして右目の近くにしがみつき声を張る。
「目ん玉ほじくられたくなかったら、負けを認めろ」
しがみついてる両手に力を入れる。
「ギャオオオオオオオン」
悲しそうな竜の悲鳴。犬かよ。
ディアシーはのたうつのを止める。そしてその目からは滝のような涙が。こいつはったりばっかで、チキンかよ。
「負けを認めるなら、ゆっくり大きく首を振れ。そうしたら勘弁してやる」
ディアシーは震えながら大きく首を振る。僕は両手を離し着地する。さすがに騙し討ちはしてこないと思うけど、ディアシーからは目を離さない。ディアシーの姿が縮み、両手を床についた少女版ディアシーが現れる。なぜか服を着てない。
「痛いーっ。痛いのじゃー。グスグスッ」
泣きながら鼻をぐずらせている。なんか悪い事したような気がする。ていうか服着ろよ。
「お前、何してんだよ。鬼畜か?」
シープの声だ。
「うわ、カナン、ひくわー」
ライの声もする。
2人は天井の穴からこっちを見てる。瓦礫が無い。あ、そうかライも収納の管理者だったな。
「ちょっ、お前ら勘違いしてないか?」
なんか話が噛み合わない。
「勘違いもなんも、服ひん剥いて裸で土下座させてんでしょ。裸で土下座させられてる人初めてみたわ。させてる人も。で、どんなプレイ? 百合なの? 百合?」
「おいおい、百合もなんも、僕は男だ」
「どこが男なのよ。男役をするって事ね。その棒を使うの? て言うか使った後? 痛いのじゃー、痛いのじゃーって言ってるし?」
棒? 僕のハンマーは先が取れてただの棒になってる。今、僕を客観的に見たら、裸で痛がる少女を棒で威嚇してるようにしか見えないな。こ、これは良く無い。ハンマーの柄を収納にしまう。




