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 姫様は野営を楽しみたい


「じゃここら辺にするか」


 僕は収納から家を出す。


「なんだこりゃー、家、家が現れた!」


 騎士ミケは驚愕して、いいリアクションをしてくれた。ここまでベタだと気持ちいい。


「確かに入ってたのを確認はしましたけど、実際見るとなんかなんとも言えないですね」


 導師ジブルはなんか遠い目をしている。見た目幼女なのにすれた奴だ。


「それでは今から野営の準備をします。お料理出来る人は協力おねがいします」


 馭者たちは、馬車を固定してマイに続こうとする。


「待ってなにこれ、家じゃない。こんなの野営地でも何でもないわ。却下、却下よ」


 なんかラファが騒ぎ始めた。面倒くさい奴だな。


「なんだ、なにが気に入らないんだ」


「全てよ、全て。これじゃ街の中と何も変わらないじゃない」


「そうですね、ご主人様、ラファ様は今まで街からほとんど出た事がないって聞いてます。普通の冒険者の原始的な野営を望んでいるのでは無いでしょうか?」


 アンがラファの肩をもつ。わかっているけど、誰が好き好んで野宿したいと思うのであろうか。僕は家で寝たい。


「では、これから多数決を取りたいと思います。これからの自分の地位の事を考えてしっかり考えて下さいね」


「まてっ!ラファ、ジブルとミケを脅迫するな。2人とも気にするな。公平に多数決をとろう」


 ん、なんかラファのペースに巻き込まれているような。深窓の恵まれない姫様だと思ってたが、なにげにしたたかだ。


「家でゆっくりしたい者手を上げろ」


 なんと僕だけだ。


「じゃあ、ラファと一緒に野営を楽しみたいひとー!」


 みんな虚ろな目で手を上げる。


「お前、また魔法使ったな!」


「だって、本当の野営したいんだもん」


「わかった、今回だけだ。けど、みんなに魔法使うのは禁止。それが条件だ」


「はーい!」


 僕以外は何があったのかわからないのかキョトンとしてる。人を操る系の魔法か。妖精すらもすんなりかかってたな。恐ろしい娘だ。精神魔法対策何か考えないとひどい目にあいそうな気がする。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「これが冒険者のご飯なのね!最高!」


 ラファは大満足だ。久しぶりの斧焼き肉だ。焚き火の上で、焼き肉用の斧を熱して肉を塩だけで焼いて食べている。マイ作の具は少ないけど美味しいスープ付きだ。


「ザップ達って、ずっと迷宮でこんなご飯を食べていたのね」


 ラファはキラキラした目で僕を見ている。ずっと屋敷に閉じこもりっきりだったのだから少しは大目にみてやるか。


「所で、ザップ、この肉は何の肉なんだ?鳥肉にしては大きい気がするが?」


 ミケが肉を飲み込んで僕に聞く。


「ドラゴンだよ」


「「「ドラゴン!」」」


 ジブル、ミケ、ラファの声がハモる。思った通りのリアクションに僕は満足した。


「ザップ様、失礼ですが頭大丈夫ですか?そんな高価で希少なものを何焼き肉にして食ってるんだよ」


 ジブルの話方がおかしくなってる。やっと僕達になじんできたみたいだ。


「面白いからに決まってるだろ。それに美味しかっただろ」


「確かに旨い。おかわりくれ」

 

 もう、ミケは考えるのを止めたみたいだ。どんどん肉をやるとどんどん食べる。


「じゃあ、鑑定ターイム!マイ鑑定よろしく」


 ドラゴンの肉を食べるとそのスキルを手に入れる事もある。こんだけ食わせたので、なんかは手に入れているだろう。


「はーい、ミケは自動回復、ジブルは剛力、ラファは……」


 マイが言葉をためる。


「なんと、大当たり!ドラゴンブレスのスキルをゲットしましたーっ!」


「やったー、ありがとう」


 ラファがマイにお礼を言う。何が起こったかわかってるのだろうか?


 かくして、ここに炎を吐く姫様が誕生した。


 

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