エンシェントドラゴン 7
「んー、なんだー?」
タイガーがベッドの上で目を擦っている。
「もうちょっと寝させてよ」
シープは体を丸めてこっちに背中を向ける。僕が言うのはなんだが、本当に全く危機感無いな。
「で、なんなんだ? ディアシー? 何怒ってるんだよ」
僕は問いかける。まあ、ミー達が僕を起こさなかったって事は危険無しって判断したんだろう。
「そりゃ、普通怒るだろ。自分たちがした事をよーく考えてみろ」
「分かんないな」
「逆の立場で考えてみろ。ひとんちに勝手に押しかけて、防犯システムを全てぶっ壊して、そこで酒盛りしてたら腹が立つだろ」
「けど、お前だって、いきなり襲いかかって来ただろ」
「あれはしょうが無い。腹減って死にそうだったからな。生き残るために仕方なかった。けど、なんでだ? ワシは腹いっぱいだ。なんでだろう」
「え、お前! あんなに食べたのに覚えて無いのか?」
「待て待て、嬢ちゃん、ドラゴン様をあんま刺激するなよ。多分、アレだアレ。そうだ、嬢ちゃん、酒、酒を出せばいいんじゃないか?」
タイガーの言葉にディアシーの瞳がキランと光る。
「お主は、話が分かるな。酒があるのか?」
「しょうが無いな」
僕はテーブルと椅子を出し、高級果実酒を出してカップに注ぐ。ディアシーは椅子に座ると恐る恐るカップを手にしグイッと飲む。
「ぷっふぁー。うまい酒じゃ。で、なんだったかな?」
一気に上機嫌。って事は酒が欲しくて怒ってたのか? まあいいけど。なんか理解が追い着かない。
「ちょっとー。なんかいい匂いするわね」
シープも起きて来て椅子に座る。
「これはワシのじゃ。お主にはやらんぞ」
「ええーっ。ケチ」
キンッ!
シープとディアシーの間に透明な盾が出て消える。
「おい、ウサ耳、今ワシに攻撃したな?」
「攻撃? 少し眠って貰おうとしただけよ」
「死にたいようだな」
バシッ!
瞬時シープの横に回って放たれたディアシーの右ストレートを咄嗟に僕は受け止めてしまった。凄まじい力だ。僕は何してるんだ。シープが死んだら万事解決だったのに。
「シープ、止めるんだ。俺らじゃドラゴン様には敵わない」
タイガーがシープを見る。
「クッ」
シープはタイガーから目を逸らす。
「ディアシーの権能は無敵の盾。そんな子供騙しの精神攻撃など効かんよ。ワシは今気分がいい。次は無いぞ」
ディアシーはまた酒を呷る。
今、僕は何をやってんだ。この状況は何なんだ? どうすればいいのかしっかり考えてみる。そうだな、まずは。
「ディアシーって何者なんだ? それで、何がしたいんだ?」
ここで一番厄介なのはディアシーだ。まずはここから解決しよう。
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